研究課題/領域番号 |
22K17486
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川尻 舞衣子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70815852)
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研究期間 (年度) |
2023-01-20 – 2026-03-31
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キーワード | 男性の育児休業 / ワークライフバランス / 共同育児 / バーチャルリアリティ / 職場風土 |
研究実績の概要 |
この研究は、現代の職場環境において、父親の育児休業を取得しやすい状況を作るためのアプローチとして、VRを用いた新生児の育児共感体験プログラムを開発し、その効果検証することを目的とする。このプログラムは、父親だけではなく周囲の人々の育児に対する意識改革を意図しており、特に上司や管理職の意識を変えることが、育児休業を取得しやすい職場風土の形成には不可欠だと考える。本研究は、VRによる新生児の育児体験により感情を動かし、育児参加の必要性への共感を引き出すことを目指している。 具体的な開発内容としては、まず新生児シミュレーター(赤ちゃんの人形)の開発に取り組んでいる。プログラムでは、実際の赤ちゃんを扱う際の緊張感を再現してリアリティのある育児体験を提供することが求められる。そのため、赤ちゃん人形の各要素(人形の重さ、可動性、素材感など)がどのような感情を呼び起こすかを基礎的に研究している。また、「わが子」と錯覚させるようなリアルな体験を生み出すには、人形の顔貌は特に重要な要素であると考えられるため、親が親密性を感じるわが子の顔貌の要素と抱く感情についても検討を進める予定である。現段階では、育児未経験者を対象としたデータ収集が完了し、次に育児経験者のデータを収集する予定である。 シナリオの作成に関しては、育児の困難さだけではなく、育児の中で感じる喜びや子供への愛おしさといった、育児の多面的な感情を表現することが求められる。そのため、SNSでの育児に関する投稿を分析し、日常的に親が直面する育児の困難や喜びを収集し、それを基にリアリティのある新生児育児のシナリオを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シナリオ作成に必要なSNSを通したデータ収集において、近年SNS投稿コンテンツの利用規約が厳しくなり、対象SNSの選定およびデータ収集と分析に困難が生じた。また、新生児シミュレーター開発に関しては、当初の仮説では考慮していなかった要素が関与する可能性や、特に人形の顔貌が感情に与える影響が大きい可能性が示されたため、実験計画の見直しを行う必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
新生児シミュレーターの開発とシナリオ作成を継続するほか、VRに必要な素材の収集・作成を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は基礎的なデータ収集に充てたため、次年度以降に行う新生児シミュレーターの開発とVR作成に使用する予定である。
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