研究課題/領域番号 |
22K17514
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
中村 朋子 兵庫大学, 看護学部, 准教授 (30736799)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 性感染症予防 / 高校生 / 妊孕性 / 養護教諭 / デジタルコンテンツ |
研究実績の概要 |
2023度は、高校生の性感染症と妊孕性の教育に関する課題、今後必要とされる内容や教育上の困難な要因を文献検討で明らかにした。結果、妊孕力、不妊に関する知識は不足し十分に定着していなかったが、多くの生徒が30歳までに結婚・出産を考えていた。養護教諭の9割が妊孕性について学校で学ぶ必要があり,半数が卵子の老化・不妊の原因等は高等学校で教えるべきと回答した。教育上の注意点では,発達段階の考慮,既習内容との関連性等であった。 これをもとに、養護教諭に質問紙調査を実施し、調査項目ごとの記述統計、経験年数による若手群・中堅群で比較を行った。 結果、性感染症に関する授業は、「保健体育」が70.0%で、用いている教材は若手群が既成資料、中堅群も既成資料と自作資料を活用していた。苦手な教育内容は両群ともに、生理学の「包茎」「夢精」、性行為付随の「性行為」、心理・社会の「性と生殖の課題」であった。希望するデジタルコンテンツは、「性暴力」「性被害」「性感染症」「性行為の断り方」で、中堅群は若手群より、多数の項目でデジタルコンテンツを希望していた。養護教諭は、「性感染症について」の自己研鑽を両群が希望し、中堅群は若手群より「子宮頸がんとHPV」、「緊急避妊薬」、「メディアリテラシー」の項目が有意に高かった。 養護教諭は、苦手な教育内容ではなく、担当する授業で活用できるカテゴリー分けしたデジタルコンテンツを望んでいた。また、性を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、対象となる高校生の実態やニーズを把握し、指導方法の工夫のために自己研鑽を望んでいることが明らかとなった。 以上より、性感染症を予防し妊孕性を維持するために必要な内容を精選して、デジタルコンテンツの作成している。今後は、完成したデジタルコンテンツを養護教諭に視聴して頂き、意見およびデータ収集を行い、集計後に分析を行い評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査分析結果をまとめ、デジタルコンテンツの内容の精選はできたが、デジタルコンテンツの作成が遅れているため、視聴後調査が予定通り開始できていない。そのため、予定より若干遅れている。今年度は、デジタルコンテンツ作成代を含め、2024年分の助成金と合わせて使用する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
データ結果の分析結果をから、目的の2つ目である養護教諭が、授業で活用できる「性感染症予防」のデジタルコンテンツ(動画)を作成し、養護教諭に配信する。デジタルコンテンツの視聴後に各々の意見についてweb調査を行う。その後、調査結果を分析した内容を、学会発表および学会雑誌へ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
デジタルコンテンツの作成費が2024年度に繰り越されるため。
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