本研究は、労働者、特に医療従事者を対象とし、クラスター無作為化比較試験にて参加型職場環境改善のストレス低減効果を検証することを目的に開始した。評価指標には、唾液や血液から得られるストレス関連生体指標および調査票を用い、医療従事者のストレス状況の把握ならびに参加型職場環境改善の身体への影響を客観的・主観的に調査する。本研究により、働きやすい職場環境が構築され、労働者がより健康に働くことができることを客観的・主観的に証明し、最終的には、客観的にも有効な一つの組織的ストレス対策として提言することを目指す。 研究年度1年目は予備的な調査として、一病院の看護部管理職者を対象に参加型職場環境改善を含む介入プログラムを行った。介入プログラムの効果検証には、唾液中コルチゾール、唾液中C反応性たんぱくおよび質問紙を用い、仕事のストレス、睡眠健康度、抑うつ症状、一般背景等を調査した。加えて、プログラム終了後には、参加者にプログラム参加に対するインタビューも行った。 研究年度2年目は、1年目に実施した予備的調査の質問紙回答を整理し、フィードバックを作成し参加者各人に返却した。その後、生体指標として用いた唾液中コルチゾールおよび唾液中C反応性たんぱくの分析を行い、同様にフィードバックを作成し参加者各人に返却した。コルチゾール、C反応性たんぱく、質問紙およびインタビューのデータ解析を進めたところ、介入群において、生体指標の一部がプログラム実施3か月後にベースラインと比較し有意に高い結果が得られた。引き続き予備研究のデータ分析・考察を行い、本研究実施の準備を進める。
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