研究課題
我々は,あらゆる病態のサルコペニア診断へと応用することを目的に「母指球筋」を新たな骨格筋量指標として着目して研究を開始した.2022年度は男性を対象とした研究を遂行し,母指球筋が全身の骨格筋量を反映するマーカーとなるかを確認することができた.当該年度の2023年度は,女性を対象として,研究①健常若年女性を対象としたMRI研究,研究②地域在住中高齢者を対象とした超音波研究を遂行した.まず,研究①として,健常若年女性5名を対象に3テスラ高解像度MRIを用いて利き手の母指球筋の撮像を試みた.昨年度に男性で確立した撮像プロトコルを応用して,円滑にイメージングを達成することができた.得られた母指球筋の撮像画像から母指球筋容量を算出し,全身の骨格筋量として算出した大腿筋容量との相関関係を解析した結果,女性においても高い相関関係を示すことを確認した.その後,超音波画像診断装置を使用して,母指球筋厚(mm)を測定した.超音波画像診断装置で計測した母指球筋厚は,MRIで撮像した母指球筋容量と大腿筋容量と有意に相関することを確認した.次に,研究②として,新潟県佐渡市在住の40歳以上の地域在住中高齢女性118名のデータを収集して,開発した母指球筋厚の妥当性を検討した.外的妥当性を分析するために生体電気インピーダンス法で測定した四肢骨格筋量を用いた.その結果,母指球筋厚と四肢骨格筋量は有意な相関関係を示し,母指球筋指標が全身の骨格筋量を反映す新たなマーカーとなる可能性が示唆された.
2: おおむね順調に進展している
前年度に男性で確立したMRIと超音波画像診断装置を使用した母指球筋測定方法を女性に応用し,概ね問題なく測定が実施できた.この結果,男性に加え,女性でも母指球筋が全身の骨格筋量指標となる可能性を見出すことができた.臨床応用を目的とした地域在住中高齢者のデータ収集は,男性・女性ともに100例以上のデータ収集を終えており,研究は順調に進展している.
現段階で,臨床応用を目的とした地域在住中高齢者のデータ収集は,男性・女性ともに100例以上のデータ収集を終えている.今後も定期的に測定会を開催し,データ収集を継続する予定である.
データ収集と解析を効率的に遂行することができたため,人件費を予定より削減することができた.翌年度においては,得られたデータを国内外の学術大会で公表することに重点を置く予定である.
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件)
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