研究課題/領域番号 |
22K17583
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
稲井 卓真 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (20932487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歩行 / センサ / 加速度 / リハビリテーション / モーメント / インパルス / 股関節 |
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、簡易センサで日常的かつ継続的に股関節累積負荷の評価が可能な社会を目指し、そのために(1)各身体部位の加速度情報から歩行中の股関節モーメントインパルスを推定すること、および(2)各モデルの妥当性を検証し、推定精度が高いモデルを決定することである。今年度、健常成人188名を対象とした歩行データを用いて分析を実施した。具体的には、歩行中の腰部、手関節、膝関節、足関節、足部、胸部の計6か所の加速度波形を計算し、各部位の加速度波形から股関節を含む下肢関節モーメントを機械学習で推定し、それぞれのモデルの精度を検証した。機械学習のセッティングについて、188名のうち152名を訓練データ、36名をテストデータとし、中間層が1層(ノード数は20)のバックプロパゲーションを用いた。推定精度の検証のために、正規化平均二乗誤差平方根(NRMSE)を計算した。その結果、他の部位と比較して、歩行中の腰部の加速度を用いて股関節を含む下肢関節モーメントを推定することで最も高い精度が得られることが明らかとなった(稲井と高林、2022)。本研究結果は、腰部の加速度波形を用いることで、歩行中の股関節モーメントのインパルスをより高い精度で推定するために役立つ基礎的知見であり、日常生活で腰部に加速度センサを取り付けることで日常的かつ継続的に個人の股関節モーメントのインパルスを定量化する社会を実現するための一助となる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、加速度情報から下肢関節モーメントを推定するための各モデルの精度を検証しており、股関節関節モーメントインパルスを推定するために重要な基礎的知見を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
加速度センサから下肢関節モーメントインパルスを推定するためのアルゴリズムの開発と精度検証を進める。さらに、加速度センサに限らず、本研究計画の最終ビジョンを達成するために、他の簡易計測機器で下肢関節モーメントインパルスを推定可能な方法についても検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画で購入予定であったMATLABを使用せずとも、PythonやR言語で機械学習の遂行が可能となったため、次年度使用額が生じた。今後の使用計画に関して、英語校正費用、ジャーナル掲載費用、分析に必要な書籍、積極的な学会参加などで計上していく予定である。
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