研究課題/領域番号 |
22K17586
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
兼岡 麻子 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (40815106)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 頭頸部癌 / 化学放射線療法 / 予防的リハビリテーションプログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、頭頸部癌(HNC)に対して化学放射線療法(CRT)を行う患者に対する①患者アドヒアランス向上のためのクラウド管理型予防的嚥下機能トレーニングプログラムを(Swallow-cloud)を開発し、②クラウド管理型プログラムと医療専門職による定期的な直接指導の併用による、患者アドヒアランスとリハビリテーション訓練の効果を検証することである。 ①Swallow-cloudに導入するため自主トレーニングプログラムの検討 当院で現在行っているリハビリテーションプログラム(頸部ストレッチおよび5種の嚥下関連筋群の筋力強化練習)について、最新の知見(Greco, 2017;Banda, 2020)を参照し、エクササイズの種類、実施回数と頻度、教示方法、禁忌について見直した。 ②ヒストリカルコントロール群のデータ集積 2020年9月から2023年6月までに予防的嚥下リハビリテーションプログラムを終了したHNC患者の、CRT前、CRT後、およびCRT1~3ヵ月後の嚥下造影検査(VF)を解析した。とろみなし造影剤と中間のとろみ付き造影剤各5mLを嚥下した時の喉頭侵入・誤嚥の程度を、PAS(Penetration-Aspiration Scale)を用いて評価した。加えて、口腔粘膜炎および味覚変化のレベルを、CRT前後で有害事象共通用語基準(CTCAE)を用いて記録した。さらに患者の摂食状態を食物摂取レベル尺度(FILS)で評価した。対象は23人(女性7人、平均年齢65.8±9.0歳)で、PASスコアには経時的な変化はなかった。CRT後、口腔粘膜炎と味覚障害は有意に悪化した。FILSスコアはCRT後に有意に悪化したが、CRT後1~3ヵ月以内にCRT前のレベルに戻った。CRT後の口腔粘膜炎の悪化、味覚の変化、経口摂取量の減少にもかかわらず、嚥下機能は維持されていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属先研究機関での研究に予期しない遅延が生じ、全体の研究計画の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Swallow-cloud の作成およびユーザビリティーテストをCRT患者5名に速やかに行い、年度内での患者アドヒアランスおよび訓練効果の検証を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画を変更し、必要な動画作成の発注を次年度に行うことにしたため。
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