研究課題
2023年度は,量的評価を用いたデータ収集に主眼を置いて検討を進めた.具体的には,筋・身体機能(握力,膝伸展筋力,Short Physical Performance Battery,バランス検査,6分間歩行試験),身体活動量(International Physical Activity Questionnaire-Short Form),栄養状態(Mini Nutritional Assessment-Short Form)を評価し,がん悪液質に特異的なエンドポイント開発に向けた基礎データの確立を目指した.がん悪液質の要因として身体活動量の関与が着目されており,本課題の集学的介入の構成要素の一つである運動療法とも関連することから,この点に焦点を当てた検討を進めた.具体的には,進行・再発肺がん患者50名を対象に,IPAQ-SFの四分位を用いてLow群とHigh群の2群に振り分けたところ,身体活動量は生存日数と有意な関連を認め,年齢,病理(小細胞,非小細胞),治療ライン(3次治療以降,1-2次治療),病勢(PD,その他)といった交絡因子で調整後も独立した有意な因子であった.さらに身体活動量には栄養状態の低下が関連していた.つまり,悪液質を呈しやすい肺がん患者においては,身体活動量を考慮した運動療法プログラムを立案し,栄養療法にも着眼することの重要性が示唆された.この成果については,現在論文投稿中であり,本課題の今後の展開に寄与できると考えている.
3: やや遅れている
2023年度はがん悪液質の新たなリハビリテーションのエンドポイント確立を目指す予定とし,量的評価を主体に検討を進めたものの,その確立には至っていない現状にある.そのため、介入研究への着手も出来ていない現状にある.
2024年度はがん悪液質のエンドポイント確立を進めるとともに,介入研究に着手する予定である.介入研究への進展が難しかった際の代替策として,臨床的にアナモレリン塩酸塩を用いた薬物療法,栄養療法,運動療法を実施した症例を抽出し,効果検証を行う予定としている.
研究の進捗がやや遅れており、本課題の介入研究で購入予定であった栄養剤などの購入に至っておらず、次年度に介入研究を実施する際に購入予定としたため、次年度使用額が生じた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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