研究実績の概要 |
近年,我が国の糖尿病患者は急増しており大きな社会問題となっている.一般的に,非薬物療法として運動療法が推奨されているが,運動に対する嗜好や合併症等の影響により運動の継続率は低いのが現状である.本研究は運動療法に代わる非薬物療法として, 温熱療法に着目した. 温熱刺激は骨格筋による糖取り込みを促進し血糖値を低下させる可能性が示されており,運動を必要としない新たな血糖コントロール方法への応用が期待されている.本研究では,温熱刺激による骨格筋グルコース取り込みのメカニズムを明らかにし,高血糖改善を目的とした温熱療法の臨床適応に重要な知見を提供する.今年度は局所的な温熱刺激方法の考案及び,一過性の温熱刺激による糖取り込みに関与するシグナル伝達物質の活性を検討した.刺激する温度や刺激時間により活性が変化するため,有効な温度閾値がある可能性が示唆された.また,全身の温熱と局所の温熱で効果が異なる可能性がある.
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