本研究は定量的感覚検査(QST)を用いて化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の病態を解明することを目的とし,CIPN症例と同年代対照群にて比較検討した.QSTの結果,CIPN症例では対照群と比較して有痛部近傍である前腕の圧痛覚閾値(PPT)低下と疼痛の時間的加重(TSP)亢進,条件刺激性疼痛調節(CPM)低下を認めた.また,質問紙評価では,CIPN症例で疼痛の自己効力感低下やADL障害を認めた.今回,コロナ禍の影響にて症例数は少なかったが,CIPNの病態には末梢・中枢感作に加えて,内因性疼痛抑制機能不全が関与し,疼痛の自己効力感低下やADL障害を引き起こす可能性が推察された.
|