研究課題/領域番号 |
22K17631
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
入江 啓輔 京都大学, 医学研究科, 講師 (50792264)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発達性協調運動障害 / バランス評価 / 目と手の協調 |
研究実績の概要 |
幼児期および学童期の運動評価として、ノートパソコンに付属するカメラを利用した姿勢評価アプリケーションを開発した。骨格情報をもとに、片足立ちの時間と姿勢に関する情報を取得し、時間による加算と姿勢による減算を組み合わせたアルゴリズムによりバランス能力を測定する方法を開発した。外的な基準としてMovement Assessment Battery for Children second edition (MABC-2)を設定し、20名の子どもに対してバランス評価を実施し、新たな評価と既存の評価の相関を分析した。相関係数0.82で有意に高い相関を確認した。我々が開発した新規の評価法は、非言語的にバランス評価を行うことができ、注意の問題によって途中で辞めたり、飽きたりする子どもが少ない傾向にあった。従来の評価法は、子どもに対して言葉によるインストラクションを中心としており、十分に理解して実施しているか判断が難しく、子どもの意欲や注意によっては最大のパフォーマンスを評価できていない可能性が考えられた。本評価法は、子どもが意欲的に取り組む効果が認められ、最大限の運動パフォーマンスを評価できる可能性が示唆された。 青年期および成人期の運動評価としてVirtual Realityを利用したボールキャッチシステムを開発した。ディスプレイ上に表示されるアバターの手を操作することで、落下してくるボールなどの物品をキャッチする課題設定とした。外的な基準として、Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency Second Edition (BOT-2)を設定し、25名の成人に対してボールキャッチ課題を実施し、新たな評価と既存の評価の相関を分析した。相関係数0.85で有意に高い相関を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児期および学童期の子どもに対するバランス評価については、既存の評価と比べて子どもが理解しやすく、目的とする運動を行うという観点で利点があると考えている。また、青年期以降の人に対しては、Virtual Realityシステムを開発し、より現実に近い環境で、現実では捉えきれない時間幅での運動の特徴を捉えられる可能性がある。 ライフステージを通じた評価法を開発するという本研究の目的に対して、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、発達性協調運動障害の子どもを対象に開発した評価を適応し、信頼性や妥当性が確保されるかどうか確認する必要がある。また、モチベーションスコアやユーザビリティを調査し、既存の評価と比べて有意な点を確認する必要がある。
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