研究課題/領域番号 |
22K17638
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
佐藤 亜紀子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (50805330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナゾメーター / 発話課題 / 基準範囲 / 幼児 / 鼻咽腔閉鎖機能 / スピーチ / 言語 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナゾメーターという機器を用いて、鼻咽腔閉鎖機能(発話時に声が鼻に漏れないようにする機能)を非侵襲的、客観的に評価するための小児用の検査課題を作成し、重症度別の4段階の鼻音化率の指標を作成することである。 2022年度は主に、幼児用の発話課題案を行った。発話課題の長さについては、できるだけ日常会話に近い状態での発話サンプルで測定した方が、聴覚判定との相関が高く、信頼性の高い測定値が算出できるため、単音節だけでなく、6音節程度の無意味音節から、単語、2,3語文を使用することとした。課題に含まれる子音は、①小児の構音発達を考慮して構音獲得の時期が遅いサ行音、ザ行音、ラ行音、ツの音を含まないこと、②早期に獲得される破裂音で産生すること、③構音障害の影響を受けにくい音、の観点で選定した。 2023年度は、2022年度に作成した課題を用いて、鼻咽腔閉鎖機能不全の疑いのない4歳~6歳代の幼児にナゾメーターおよび構音検査を実施し、nasalance score(以下N-score)の基準範囲を求めた。N-scoreの基準範囲は、課題ごとに2.5~97.5パーセンタイルとしたところ、母音や半母音で構成された低圧課題は5~22%、無声破裂音で構成された高圧課題は5~16%となった。小児の構音獲得を考慮した課題でナゾメーター検査を実施することで、小児のN-scoreの基準範囲の設定が可能であることが示唆された。 2023年度後半から、口蓋裂術後や粘膜下口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症など、鼻咽腔閉鎖機能不全が疑われる疾患や症状を持つ幼児のデータを収集中である。 研究成果は、第68回 日本音声言語医学会(倉敷)で口頭発表をした。今後論文投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナゾメーターが購入できたことで、2023年度前半で健常幼児のデータを収集することができたため、2023年度後半から口蓋裂や粘膜下口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症など、鼻咽腔閉鎖機能不全が生じる可能性がある合併症のある幼児のデータ収集を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度後半から収集しているデータを、2024年度前半には収集完了させる予定である。年齢的に該当する幼児は一定数いるが、発達の遅れがあり検査に応じられない児も少なくない。引き続き積極的に協力依頼をしていく必要があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の、幼児の研究協力者に対する謝金について、時間的損失と往復の交通費を含めて1名2,000円で計上していたが、研究協力者は幼稚園に限定し、平日の通園時間内に実施することができた。そのため交通費の支払いが不要となったため、予算と決算に差額が生じた。また、2023年度は、情報収集および成果発表のための学会参加費を計上していたが、科研費を使用せず個人研究費で行くことができた。2023年度使用しなかった予算を使用して、2024年度の情報収集(学会参加)を行う予定である。
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