研究課題/領域番号 |
22K17640
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田宮 創 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (40724737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 長時間座位 / 血圧 / 交感神経活性 / 腎動脈の血行動態 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,座位行動に伴う交感神経の活性化が,①血圧上昇,腎動脈の血行動態に与える影響を明らかにし,その機序を解明すること(研究1),②座位行動の中断が,交感神経,血圧,腎動脈の血行動態に与える影響を明らかにすること(研究2)である. 研究1の成果として,以下のことが得られた.この無作為クロスオーバー試験には、16名の健康な若年男性(平均年齢:21.6±0.7歳)が参加し,3時間の仰臥位(CON)または3時間の座位(SIT)の条件に無作為に割り付けられ,その後少なくとも1週間のウォッシュアウト期間が設けられた.ベースラインから60分後,120分後,180分後に収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP),平均動脈圧(MAP),心拍数(HR),心拍変動に由来する低周波/高周波(LF/HF)比,下腿周囲長を測定した.また,一部の対象者における腎動脈の血行動態も計測した.これらの指標を二元配置(時間×条件)分散分析により比較した. SIT条件では,DBP,MAP,HR,LF/HF比,下腿周囲長は時間経過とともに有意に増加し(P<0.05),CON条件よりも有意に高かった(P<0.05).しかし,SBPは経時的および条件間で有意な変化を示さなかった.また,SIT条件の一部対象者における腎動脈の血流速度も減少傾向を示した. これらの結果は,健常若年男性における長時間の座位姿勢は,交感神経活動を活性化し末梢血管抵抗を増加させることで,拡張期血圧及び平均動脈圧を上昇させることを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臥位姿勢に比し長時間の座位姿勢が,健常若年男性における交感神経活性と血圧上昇を引き起こすことを明らかにすることができた.しかしながら,腎動脈の血行動態の描出に難渋する例が多く,血行動態の評価に成功した例数が不足していた. そのため,座位姿勢を中断した際に生じる血圧,交感神経活性,腎動脈の血行動態の変化を捉える研究への着手にも遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進捗がやや遅れているのは,腎動脈の血行動態の描出技術が不足してるからである.したがって,今年度以降は,腎動脈の血行動態を正確に描出する技術を確立するために,腎動脈エコーに精通した臨床検査技師に研究協力を依頼し,この問題を解決していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
腎動脈の血行動態の評価技術における問題があり,当初予定されていた研究進捗に遅れが生じたため,次年度の使用額が生じた. 腎動脈の血行動態の評価技術を確立するために,技術者に研究協力を仰ぎ,この問題を解決する.その後,座位行動を中断する際に生じる腎動脈の血行動態の変化を捉える研究(研究2)に着手し,当初の予定に沿った研究費の使用を行う.
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