研究課題/領域番号 |
22K17676
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大木 雄太 信州大学, 教育学部, 助教 (20880959)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 注意の焦点づけ / 遠投運動 / スポーツ心理学 / 視線行動 |
研究実績の概要 |
心理学的要因である注意の焦点づけ(Attentional focus)が遠投運動の学習およびパフォーマンスに対して影響を与えることが報告されている。しかし、遠投の学習期間中に注意を向ける対象を変化させていないため、使用する注意の焦点づけを自己選択した際の影響については検討が行われていない。また、遠投運動を行う際の注意の焦点づけと動作の関係については十分な検討が行われていない。そこで本研究では、動作の指標のなかでも手首の動きや視線行動に着目し、注意の焦点づけが与える影響について検討しすること、および注意の焦点づけを自己選択することが遠投運動の学習およびパフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的としている。 研究2年度目は、注意の焦点づけが遠投運動の視線行動に与える影響について検討した。手首への注意、体幹への注意、ボールの軌道への注意を比較した結果、最終注視時間については条件間に差はみられなかった。一方で最終注視位置は、ボールの軌道へ注意を向ける方が手首や体幹へ注意を向けるよりも高くなることが明らかになった。またボールの投射角は、ボールの軌道に注意を向ける方が手首へ注意を向けるよりも高くなり、最終注視位置とボールの投射角に正の相関が認められた。これらのことから、注意の焦点づけが遠投距離に与える影響には、視線行動が関係していることが示唆された。 また、遠投運動の学習時に用いる注意の焦点づけを変化させることによる学習およびパフォーマンスへの影響について検討するため、遠投運動の学習時に用いる注意の焦点づけの順序効果を明らかにすることを目的とした実験を行った。その結果、学習初期は自身の身体運動に注意を向け、その後は身体外部に注意を向けることが有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年度目は、注意の焦点づけが遠投運動の視線行動に与える影響について収集したデータを分析し、その結果について学会発表を行った。また、遠投運動の学習における注意の焦点づけの順序効果についても検討したが、こちらについては一部のデータ分析が終了していないため、分析を進めることや、対象者を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年度目も、注意の焦点づけが遠投運動に与える影響について検討していく。具体的には、前年度に行った遠投運動の学習における注意の焦点づけの順序効果について引き続き実験や分析を行う。また、注意の焦点づけを自己選択することが遠投運動の学習およびパフォーマンスに与える影響を明らかにするための実験を行う。以上の実験を通して得られたデータを整理、分析し、研究成果について学会発表を行う予定である。そして、これまで行ってきた研究をまとめ、総合的に検討する。
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