研究課題/領域番号 |
22K17694
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
藤代 瞳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (90848425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前距腓靭帯 / 解剖 / 骨形態 / 腓骨 / マイクロCT / 組織 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は足関節の前距腓靭帯における超音波検査での評価・診断精度向上のため、再現性のある骨性ランドマークの提起を行うことである。2023年度に実施した研究内容を以下に示す。 ①昨年度に引き続き前距腓靭帯腓骨付着部におけるを組織学的解析を進め、昨年度行った肉眼解剖学的解析の結果との比較検討を行った。組織学的解析では、東京医科歯科大学解剖体足関節標本を用いた。ダイヤモンドバンドソー(EXACT 312)を用いて、非脱灰状態のまま超音波検査で撮像する造と同様になるように腓骨と距骨をトリミングした。500μmおきの連続組織切片を作成し、マッソン・トリクローム染色を行い、前距腓靭帯の腓骨付着部の構造と骨形態との関連性を解析した。前距腓靭帯付着部の近位部では、前距腓靭帯の上方線維は密な線維が線維軟骨構造を介して骨隆起の前方に付着していた。前距腓靭帯付着部の遠位部では、ATFLの下方線維は、上方線維よりも疎な線維が踵腓靭帯付着部の前方に付着していた。 昨年度行った肉眼解剖学的解析と上記の組織学的解析により、前距腓靭帯と踵腓靭帯の付着部は腓骨遠位部に隣接して存在し、その2つの境界には骨隆起が存在することがわかった。また、前距腓靭帯の上方線維の方が下方線維より密性の結合組織により構成されていることがわかった。以上のことから、前距腓靭帯と踵腓靭帯の間の骨隆起は前距腓靭帯腓骨付着部の後縁にあたるため、前距腓靭帯付着部頭背側縁が超音波画像診断における有用な骨性ランドマークとなることが示唆された。 ②生体で超音波検査を行い、解剖学的解析により得られた骨ランドマークの検証と撮像方法の検討を行った。 ①の解剖学的解析の結果を生体で確認するため、超音波検査を行ったところ、骨性ランドマークは全例で確認することができた。最適な撮像方法は現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた前距腓靭帯腓骨付着部の組織学的解析を予定通り行い、前年度の結果とまとめることでポジティブなデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、生体での検証を進める予定である。 全例で骨性ランドマークが有用かどうか、さらには再現性を高く保つための撮像方法の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の論文投稿にあたり、掲載費用がかからなかっため差額が生じた。 2024年度は生体での超音波検査を行う予定である。超音波検査を行うための必要分品やポータブルエコー機の購入を検討している。また、消耗品の購入が必要なため、全て費用は使用できる見込みである。
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