研究課題/領域番号 |
22K17707
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
山岸 卓樹 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部門, 契約研究員 (10794696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高強度間欠的運動 / 最大酸素摂取量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、最大酸素摂取量(VO2max)測定のゴールドスタンダードである漸増負荷試験の代替となり得る新たな測定法を開発することである。VO2maxは「単位時間あたりに体内に取り込むことのできる酸素摂取量の最大値」と定義され、全身持久力の指標として世界的に広く用いられている。VO2maxは一般的に自転車エルゴメーターやトレッドミルを用いて、段階的に負荷を増加し実験対象者が疲労困憊に至るまで行う漸増負荷試験により評価される。また、漸増負荷試験では最大心拍数(HRmax)も評価され、トレーニング時の生理学的負荷(%HRmax)の指標としてアスリートのトレーニング現場で活用されている。 2023度は2022度に引き続き、高強度間欠的運動により漸増負荷試験と同等のVO2maxおよびHRmaxを得られるかを検証した(2023年度は新たに7名のデータを取得)。計13名の運動習慣を有する男性を対象に、強度の異なる3つの高強度間欠的運動(80%VO2max、90%VO2max、100%VO2max)全ての条件において、漸増負荷試験と同等のVO2maxおよびHRmaxが得られることを確認した(反復測定による一元配置分散分析を用いて確認)。さらに、全ての高強度間欠的運動条件において、平均パワーとVO2maxの間に高い相関関係(r = 0.85-0.89)が見られ、線形回帰分析により間欠的運動時の平均パワーから比較的精度よくVO2maxを推定できることも確認された(推定の標準誤差:3.5 - 5.4 ml/kg/min)。今後、本実験を皮切りに幅広い体力レベルの人々を対象に研究を重ねていくことで、パワー値とVO2maxの換算表の開発等に繋がれば多くの人々に恩恵をもたらすと期待できる。なお、これから論文掲載を目指す関係上、現時点では本実験で採用した間欠的運動の詳細の公表は控えさせていただく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は2022年度内に本実験の完遂を目指していたが、実験に必要な機材の故障や搬入の遅れなどにより、2022年度は6名のデータ取得に留まっていた。したがって、年度をまたぐ実験となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2022-2023年度に実施した実験により、高強度間欠的運動が漸増負荷試験と同等にVO2maxやHRmaxを評価できること(妥当性)を確認した。次は、測定の信頼性(再現性)を確認する必要があるため、今後はまず再現性の検証を行う。さらに、再現性が確認された後は、本研究で採用した高強度間欠的運動が測定とトレーニング、その両方を兼ねるかを検証するために、介入実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が2022年度-2023年度と年度をまたいだため、単年度あたり(当該年度)の人件費・謝金が抑えられた。次年度は引き続き実験(前述の通り測定の再現性の検証)を実施予定のため、次年度使用額は主に人件費・謝金に充てる。さらに、2023年までの実験で得られた成果を学会発表や論文掲載する際にも次年度使用額を充てる予定である。
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