研究課題/領域番号 |
22K17719
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
榎本 翔太 岡山大学, 教育推進機構, 助教 (50880085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アキレス腱 / 有限要素解析 / FEA / シミュレーション / 筋腱複合体 |
研究実績の概要 |
本研究は、アキレス腱断裂やアキレス腱症の発生に関連するアキレス腱の形状特性を特定することを目指して、有限要素解析を用いてアキレス腱の形状が局所的な変形に与える影響を明らかにすることを目的としている。 この目的を達成するために、本年度は先行研究で得られたアキレス腱の3次元形状からアキレス腱の最も近位の厚みと幅、最小横断面積位置の厚みと幅、最も遠位の厚みと幅、長さ、最小横断面積出現位置におけるそれぞれの平均値と標準偏差(SD)を算出した。そして、それらの平均値に基づき、標準的な3次元アキレス腱形状をComputer Aided Designソフトを用いて作成した。さらに、それぞれのパラメータにおいて平均値±2SDの範囲で1SDごとにパラメータの値を変化させたモデルを作成し、引っ張り張力をかけた際の局所的な変形(ひずみ)を分析した。 その結果、形状を変化させると局所的なひずみが大きく変化することが明らかとなった。例えば最も遠位部の厚みを小さくしたモデルでは、標準的な形状と比較して局所的なひずみが27%大きくなった。また、最小横断面積位置の幅を小さくしたモデルでは、標準的な形状と比較して局所的なひずみが18%大きくなった。さらに、形状により、局所的なひずみが大きくなる位置が異なることが明らかとなった。 これらのことは、アキレス腱の形状がアキレス腱断裂やアキレス腱症の発生に関連するリスク因子の一つであり、また、それらの傷害が発生する位置にも影響する因子であることを示している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は初年度にアキレス腱の形状(例:長い、太いなど)とその組み合わせ(例:長くて太い)について実験を行う予定であった。しかし、再考した結果、まずは組み合わせを考慮せず、1つのパラメータを変化させた場合のみに着目するべきだと判断し、その実験を行った。また、研究代表者の所属機関の移動に伴う学内業務の増大により、研究の進捗の遅れが生じ、最終的に組み合わせについての実験を行うことができなかった。 これらの理由から、初年度に行う予定であった組み合わせについての実験を行えていないため、やや遅れているという判断である。
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今後の研究の推進方策 |
形状の組み合わせ(例:長くて太い)を考慮したモデルを開発し、実験を行う。 得られた結果は速やかに論文として成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関の移動に伴う学内業務の増大により、研究の進捗の遅れが生じ、実施予定であった実験が一部実施できなかったため、差額が生じた。 実施できなかった実験は翌年度以降に実施し、差額を使用する。
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