研究課題/領域番号 |
22K17727
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
曽根 良太 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (40849618)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 唾液中SIgA / 口腔内局所免疫機能 / コンディショニング / パフォーマンス / 高強度運動 / Cube Reader / Lateral Flow Device |
研究実績の概要 |
アスリートが試合で最高のパフォーマンスを発揮するためには、コンディションを正しく把握することが重要である。これまでに高強度運動が免疫機能を低下させる可能性が指摘されている一方で、競技中のパフォーマンスに着目した免疫機能との関係については十分に検討されておらず、どのようなパフォーマンス要因が免疫機能に影響を与えるかは不明である。そこで本研究ではスポーツ現場でも活用が可能な簡便・迅速かつ高精度に口腔内局所免疫機能である唾液中免疫グロブリンA(唾液中SIgA)を評価する方法を確立した上で、唾液中SIgAを含むコンディション指標と競技中のパフォーマンスとの関連性を明らかにすることを目的とした。 本研究の目的を達成するために次に示す3つの課題を設定した。①高精度かつ迅速にフィードバック可能な唾液中SIgAの評価法の確立、②唾液中SIgA(コンディション)と競技パフォーマンス要因との関連性の検討、③競技特有のパフォーマンス要因が唾液中SIgA(コンディション)の変化に与える影響 本年度の研究では、高精度かつ迅速にフィードバック可能な唾液中SIgAの評価法の確立を目指した課題①の測定(横断研究)を実施した。Cube Readerを用いたLateral Flow Assay(LFA)法で唾液量の測定が可能な次に示す3つの手法で唾液採取を行った。方法1:綿棒に唾液が規定量含まれる時間を計測する、方法2:綿棒を口に含んでいる時間を統制する(60秒)、方法3:流涎法で別途採取した唾液から綿棒に規定量含ませる。それぞれの方法で採取した唾液を用いてLFA法にて唾液中SIgA濃度を定量した。さらに、従来のEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)法でも唾液中SIgA濃度を定量した。得られたデータより課題②および課題③で用いる唾液採取方法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、課題①高精度かつ迅速にフィードバック可能な唾液中SIgAの評価法の確立の測定(横断研究)を実施した。対象者は一般健常者30名(男性15名、女性15名)とした。研究対象者には、同意書への署名によるインフォームドコンセントを実施した。LFA法にて唾液中SIgAを定量するために3つの手法にて唾液採取を行った。加えて、従来のELISA法でも唾液中SIgAを定量した。また、3つの手法における唾液採取時の負担感についてもアンケートにて調査した。本年度で課題①における全ての対象者(30名)の唾液採取およびアンケート調査が終了した。得られたデータより、スポーツ現場において高精度かつより活用しやすい方法について検討中である。当初の実施計画で予定していた本年度の全ての測定は終了していることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度において実施した課題①で得られたデータより、2023年度以降に実施する課題②および課題③で用いる唾液採取方法を確立する。課題②および課題③はバレーボール選手を対象として、バレーボール競技特有のパフォーマンス要因であるジャンプに着目して、唾液中SIgAとの関連性について検討していく予定である。課題②では、ジャンプパフォーマンスと唾液中SIgAの関連性について横断的研究を実施する予定である。課題③では、ジャンプパフォーマンスと唾液中 SIgAの関連性についてプレーシーズンを通した縦断的研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入を予定していた消耗品等が原材料不足のため当該年度での購入に間に合わなかったため翌年度に繰り越すこととした。 翌年度使用額と当該年度以降分として請求した予算は、本研究の主要な測定項目である唾液中SIgAの測定チップや測定に際して必要となる消耗品の購入に使用する。旅費として、外部機関等での測定や学会等への参加に必要となる費用を計上している。測定時の測定補助者への協力謝金も計上している。また、研究成果の発表として学術論文への投稿を予定しており、英文校正費用、投稿費用、掲載費用にも使用予定である。
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