研究課題/領域番号 |
22K17740
|
研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
村川 大輔 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 助教 (60909141)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 意思決定 / サッカー / 潜在的知覚 / 情動処理仮説 / ヴァーチャルリアリティ |
研究実績の概要 |
本研究課題では、素早い無意識的な知覚の実現メカニズムを解明すること(目的1)、および、意思決定能力の量的発達と質的発達の関係性を明らかにすること(目的2)を目的に、研究活動を行っている。 当該年度では、素早い無意識的な知覚の実現メカニズムについて、前年度の研究成果により明らかになった情動処理仮説の観点から、追加で実験室課題による検証を行った。具体的には、サッカーのゴールキーパーを対象に、実践場面で必要となるリスクマネジメントに関する知覚認知技能に焦点を当てた研究を行った。具体的には、優れたゴールキーパーは、ピンチになる状況を素早く認識できること、およびその熟達差は同一場面を攻撃側の視点から観察する状況では生じないことが明らかとなった。また、その背景として、本研究のテーマである環境情報の情動処理仮説を示唆する研究結果が得られた。 加えて、意思決定能力の量的・質的発達の関係性を明らかにすること(目的2)について、意思決定能力の質的発達としての熟練選手の特徴を明らかにするため、ヴァーチャルリアリティ環境(3D)で実際の試合場面を再現し、これまでの意思決定研究で一般的に行われていたビデオ映像(2D)を使用した場合との意思決定の質の違いについて検証を行ったところ、熟練選手はVR環境で意思決定を行った場合により攻撃的な選択肢を生成できることが明らかとなった。今後は、VR環境を積極的に活用し、より実環境に近い状況で意思決定の発達の違いを明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
より実環境に近い状況で意思決定能力を評価できるVR環境を構築できたことは今後の研究精度を高めるうえで重要な作業であった。今後は、VR環境を活用し、意思決定能力と無意識的知覚の関係について明らかにできるような課題の構築が望まれる。 また、情動処理仮説については、実験課題ベースでは知見を積み重ねることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までは、意思決定能力の適切な評価方法や情動処理仮説に関する実験室ベースのデータ収集が主であった。今後は、神経生理学的手法(fMRI)を用いた情動処理仮説の検証や、得られたデータを公表していく作業が必要である。また、意思決定能力を精度高く評価できるVR環境を活かした研究活動を行うことが望まれる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
fMRIを用いた研究を実施できず、施設使用料や人件費の支払いがなかったこと、および、国際学会への参加を見送ったため。翌年度の実験実施時や学会参加時に使用を予定している。
|