研究課題/領域番号 |
22K17757
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松橋 拓努 東北大学, 情報科学研究科, 特任研究員 (20913320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 主体性 / 脳波 / アクティブラーニング / 探求学習 / パフォーマンスモニタリング |
研究実績の概要 |
運動スキルの上達にはどのような練習をすればよいかという問題は,スポーツ科学領域において主要な研究テーマの一つである。近年,”自ら学ぶ力”,”アクティブラーニング”という用語に象徴されるように,「主体的に学ぶ態度」を重視する教育観が,運動学習場面にも浸透している。一方,こうした学習者の主体性に依存する教育手法は脱落者も多く,成績がバラつくという問題を抱えている。しかし,どれぐらい主体性をもって学習に取り組めたかを評価する手法は質問紙しか存在せず,回答者の主観に依存しない評価法の確立は重要である。ドロップアウトを防ぐサポート手段を開発するためにも,学習者の主体性のメカニズムを理解することは有用である。本研究では,「脳内モニタリングシステム」を反映する脳波の「medial frontal negativity (MFN)」に着目し,客観的な指標の開発を目指す。申請者はこれまでの研究で,MFNが運動学習の遂行成績を予測できる脳バイオマーカであることを明らかにした。この知見にもとづき申請者は,MFNと主体性の発現機序の類似性を見出し,MFNが主体性を反映する客観指標になり得る,と仮説を立てた。本研究の遂行は,主体性に関する重要な知見を,スポーツ科学・教育学・心理学・脳科学領域に提供することで,当該学問領域のさらなる発展に寄与することが期待される。本年度は,パフォーマンスモニタリングシステムを評価するための実験環境を構築し,数名から脳波データを記録した。次年度以降は,主体性を評価する運動学習課題遂行環境の構築と当該課題の妥当性を検証し,データの追加取得・解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画は,主体性を高める従来手法の効果測定を検討することであった。本年度の研究は「研究の目的・計画」に沿って遂行し,脳波計測環境の構築ならびに脳波計測用の課題を作成し,予備データを計測した。データ数はやや少ないが,研究の達成度は「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,実際の学習行動指標と,脳波・脳構造指標を組み合わせて,主体性の高い学習行動の発生機序の解明に取り組み,引き続きデータ取得を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品を計上していたが,今年度は脳波課題の適切な設定に関するパラメータ調整をメインで行ったため,当該箇所の経費が発生しなかった。来年度以降は,当該設備備品を購入し実験課題を作成し、当初の計画を進めていく。
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