研究課題/領域番号 |
22K17765
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
梅原 潤 関西医科大学, リハビリテーション学部, 助教 (80780337)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨格筋 / スティフネス / エラストグラフィー / 超音波イメージング / 数理モデル |
研究実績の概要 |
本研究課題では、ヒト生体の骨格筋を対象とし、その3次元形状と受動的張力の関係性を定量化することによって、骨格筋の柔軟性の新たな指標となる3次元筋スティフネスをモデル化することを目的としている。従来の筋スティフネスは筋を1次元的に捉えて過度に単純化し、筋の本来の3次元的な形状変化を考慮できていないという問題点があった。本研究では、この問題に対して、エラストグラフィーによる受動的張力計測と3次元超音波イメージングによる3次元形状計測という手法、さらに数学的アプローチによるモデル化を用いて取り組んでいる。 当該年度では、超音波エラストグラフィーを用いて3次元的姿勢変化に伴う受動的張力の変化を計測できる実験環境を構築し、3次元姿勢と受動的張力の関係性の定式化を進めた。これまでの受動的張力の計測は、足や膝など2次元的運動しかない関節を跨ぐ筋を対象としており、肩のような3次元的運動をする関節に跨る筋は対象とされておらず、その計測を可能とする実験系は確立されていなかった。そこで本研究では、ダイナモメータを使用して被検者が力を抜いた状態で様々な上肢姿勢をとっている時に、エラストグラフィーによる受動的張力とモーションキャプチャによる上肢姿勢の同時計測が可能な実験環境を作成した。これにより、上肢の姿勢に対応した筋の受動的張力の値を獲得することができた。さらに、取得したデータを低次元空間で表現することによって、3次元姿勢と受動的張力の関係性を従来のモデルで定式化できる可能性があることまで分かりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した通り、3次元的姿勢変化に伴う受動的張力の変化を計測できる実験環境を構築できた。さらに、取得したデータの3次元姿勢と受動的張力の関係性をモデル化する方法も明らかになりつつある。また、本研究課題の開始当初は、新型コロナウイルス感染の影響で外部被検者を対象とした実験が難しい可能性もあったが、健常若年成人を対象とした実験を問題なく実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
3次元姿勢と骨格筋の受動的張力の関係性をモデル化する方法を確立するため、様々なアルゴリズムを用いた数学的アプローチを検討する。また、骨格筋の3次元形状変化を計測するために、3次元超音波イメージングを使用した実験環境の構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の影響によって、外部被検者を対象とした実験を当初予定していた回数ほど実施できなかったために次年度使用額が生じた。したがって、当該助成金は今年度実施できなかった実験を行うための人件費や謝金の支払いに使用する予定である。
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