研究課題
本研究では、申請者が以前に実施した観察研究で見出した血糖変動の安定化と関連する患者背景因子について、経年的に更なる検討を深めることを目的に、空腹時血清プロインスリン値を用いた膵β細胞機能評価と腹部C T画像を用いた内臓脂肪測定を含めた、より詳細な評価項目を用いて前向きに検討を行っている。本研究の第1段階として、2018年から2019年の間に行われた申請者の先行研究で収集したデータをもとに、膵内因性インスリン分泌低下型の2型糖尿病における内臓脂肪面積と血糖変動の安定性の検討を行った。内臓脂肪面積と血糖変動不安定化、低血糖時間の延長との関連を見出した。さらには、先行研究に参加し2021年度以降に腹部CTを撮影した患者に対して、持続血糖モニター、空腹時採血を行い検討を開始した。痩せ型で膵臓からのインスリン分泌が低下した患者や良好な血糖マネジメントがなされている患者を広く対象とし、2023年3月時点で162例のリクルートおよびデータ収集が終了している。今後2023年7月を目処にデータ解析を行い、学会発表および論文発表を予定している。また、血糖変動の経年変化に着目した糖尿病治療アプローチについて、現在行っている空腹時血清プロインスリン値と内臓脂肪面積の検討に加えて、体組成評価など他の観点からの解析方法についても検討を進めている。将来的には血糖変動パターンと膵β細胞機能、体組成に注目した糖尿病個別化医療を実現することを目標に、引き続き糖尿病診療の実践に向けた研究を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
現在、予定通りに対象者のエントリーやデータ収集が進んでおり、解析に着手できる見込みである。
血糖変動の経年変化に関連する患者背景因子の評価項目について、さらに詳細に解析する。具体的には、現在の空腹時血清プロインスリン値と内臓脂肪面積に加えて、体組成評価などについても検討を進める。これらの項目を組み合わせて、より有効な2型糖尿病患者の膵β細胞機能の保持と血糖変動の安定化を目的とした糖尿病診療を目指す。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Diabetes, Obesity and Metabolism
巻: - ページ: -
10.1111/dom.15049