研究課題/領域番号 |
22K17768
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
加藤 俊祐 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (40924452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 糖尿病腎症 |
研究実績の概要 |
我々は糖尿病腎症感受性であるKK/TaのIns2Akita (KK/Ta-Akita)マウスにおいてGLP-1受容体作動薬が糖尿病腎症を改善させることと、GLP-1受容体作動薬が神経系を介した新しい機序で腸内細菌叢を変化させることを報告してきた。研究過程で、KK/Ta-AkitaマウスではC57BL/6のそれと比較して「セグメント細菌」量が増加しており、腎症の感受性と相関することを見出した。セグメント細菌は宿主の回腸上皮細胞に一端を「挿入」して生着し、免疫機構(Th17細胞の活性化)へ影響を与えるユニークな細菌である。我々はKK/Ta-Akitaマウスの糖尿病腎症の発症、進展もしくはGLP-1受容体作動薬による腎保護効果にセグメント細菌が関わる可能性を想定した。本研究により「腸腎連関」機構が明らかになれば、腸内細菌への介入という新しい角度から糖尿病腎症の発症や進展を抑制する栄養食事指導や治療法開発の可能性が期待される。本研究では、①糖尿病腎症発症・進展にはセグメント細菌の増加が関連するか、②セグメント細菌は、腸管Th17細胞の活性化、腎臓へのTh17細胞の移行、腎臓でのIL-17の増加を介して、糖尿病腎症発症・進展に関与するか、③GLP-1受容体作動薬はセグメント細菌と免疫系の制御を介して、糖尿病腎症の改善に寄与するか、という3つの仮説を検証する。 令和4年度はC57BL/6-WT 、C57BL/6-Akita 、KK/Ta-WT、KK/Ta-Akitaマウスのそれぞれにおいて、GLP-1RA投与有無による基礎的パラメータおよび・便・組織を採取した。Th17細胞の検討はBD FACS MelodyTM Cell Sorterを使用することで解析する予定であり、現在予備的検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響を受け、実験計画は全体的に遅延している。またFACSの実験系確立に時間を要しており、実験計画が遅延しているもう1つの要因と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ポストコロナの現在において実験計画を軌道修正していく予定である。具体的には既報(STAR Protoc. 2022 May 6;3(2):101366.STAR Protoc. 2021 Jul 28;2(3):100523.)を参考にFACSの実験系確立を優先して進めていく。その後、インスリン・SGLT2阻害薬・抗生剤投与実験等を順に進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
FACSの実験系確立に時間を要しており、その後のマウスを使用して行う予定であった実験が行えておらず次年度への繰り越しが生じた。繰り越しとなった助成金は次年度のものと合わせ、その後のマウス実験に使用させて頂きたいと考えている。
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