研究課題/領域番号 |
22K17772
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩史 新潟大学, 研究統括機構, 特任助教 (60791382)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 乳酸醗酵酒粕 / 機能性食品 / 脂肪肝 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic fatty liver disease: NASH)はインスリン抵抗性などを背景として脂肪肝を経て肝硬変や肝癌に進行する世界的に重大な疾患である。乳酸発酵酒粕は、酒粕を脱アルコール化して乳酸醗酵を加えた食品であり、酒粕を機能性の面でも改善させた既存の商品である。この乳酸醗酵酒粕の摂取により、生活習慣病の発症や進行の抑制効果を証明できれば、国民の健康増進に大きく寄与できるものと考えられる。 本研究は、乳酸醗酵酒粕をNASHモデルマウスに摂取させて、対照群と比較してNASH進行抑制効果がみられるかを確認することを目的として行われた。 具体的な実験方法としては、C57BL/6Jマウスに生後2日後にストレプトゾトシン200μgを皮下注し、4週齢から高脂肪食を摂取させてNASHモデルマウスを作成した。10週齢より、そのまま高脂肪食を摂取させる群(NASH群)と、乳酸醗酵酒粕を高脂肪食に混合した特殊飼料を摂取させる群(乳酸醗酵酒粕摂取群)に分けて、どちらも14週齢で全血液と肝臓を回収し、肝機能や血糖値、脂質および肝臓の組織学的評価と炎症マーカーの解析を行った。コントロール群として、NASHモデルマウスでない通常のC57BL/6Jマウスに通常食を摂取させた群(通常群)を用いた。 結果は、NASH群では通常群と比較して肝逸脱酵素が上昇しNASHを発症していたが、乳酸醗酵酒粕摂取群ではNASH群と比較してNASHの進行が抑制されていた。また、NASH群および乳酸醗酵酒粕摂取群では通常群と比較して有意な血糖上昇が確認されたが、乳酸醗酵酒粕摂取群ではNASH群と比較して血糖上昇が抑制されていた。肝臓の蛋白分析においては、炎症マーカーの発現がNASH群において通常群と比較して上昇していたが、乳酸発酵酒粕摂取群ではその上昇が抑制されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の報告通り、基礎実験は計画通りに進んでおり、すでに有効性を示すデータも取得できているため。 本研究成果については、2022年12月に開催された第20回日本機能性食品医用学会総会で一般演題として発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本研究については論文化を進めていき、海外の学術誌へ投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画は順調に進み、当初より予定していた金額よりも少ない金額で基礎研究を行うことができたため。
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