研究課題/領域番号 |
22K17776
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
牧 尉太 岡山大学, 大学病院, 助教 (20774178)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 産官学連携 / 特定臨床研究 / 女性ホルモン補充療法 / 介護予防 / 変形性膝関節症 / サルコペニア予防 / やりがい形成 |
研究実績の概要 |
下肢筋力が低下しやすい変形性膝関節症の高齢女性を対象に、筋負荷運動プログラムを実施する際に、女性ホルモン(エストロゲン)を短期的に投与することによる下肢筋力をはじめとした身体機能への相乗効果を調べる研究である。本研究は、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験の特定臨床研究として、2021年12月に認定臨床研究審査委員会からの承認を受けた。筋負荷運動プログラムは、産官学協働でエビデンスに基づいた運動方法を専門の理学療法士監修の元に作成し、女性の社会活動参画へのコミュニティ形成や健康づくりに向けた継続性を向上させるカット野菜事業を加えた新しいプログラムを導入した筋負荷運動プログラムである。研究終了後への健康作りへの活動継続のために、生きがい形成というアイディアを組み込むことができる新規性と独創性の高い臨床研究である。理学療法士、ソーシャルコーディネーター、N PO法人職員とともに研究開始に向けた準備を整え、2022年5月より研究被験者の応募を開始し、7月下旬から研究登録、8月中旬から介入開始となった。研究介入中の副作用や合併症に対する対応をマニュアル化し、研究参加者の個人情報を秘密保護も厳重に遵守行っており、介入後も大きな合併症、副作用、トラブルなく経過している。研究登録者は初年度に56名となり、リクルートメントも順調に進行している。さらには、介入後の運動や活動継続されるかたは、行政とNPO法人との協力により、円滑な充実したサポートをうける体制も整えている。研究について論文作成も積極的に実施し、日本女性医学学会での発表を実施し、プロトコール論文の作成を行い、BMC Geriatricsへ掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年5月より研究被験者の応募を開始し、7月下旬から研究登録、8月中旬から介入開始となった。研究期間は13ヶ月(介入前検査期間1ヶ月、介入期間3ヶ月、観察期間9ヶ月を予定している。介入期間は3ヶ月間とし、層別ランダム化による割付後、筋負荷運動プログラムおよびエストロゲン塗擦もしくはプラセボ塗擦を実施した。介入前後及び介入から12ヶ月後の評価項目の変化を調べており、主要評価項目は、30秒椅子立ち上がり試験の回数であり、副次評価項目は、下肢筋力、筋肉量、身体機能(timed up and go test)、握力、血液検査、認知機能、疼痛スコア、骨密度である。 2023年3月末までに目標症例数80名に対し、56名が介入を終了し、介入後の評価項目の測定を終了し、観察期間に入っている。2023年4月以降に2次募集として追加の症例を登録する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
目標症例数の登録に向けて、2次募集を2023年4月から開始し、約25名程度の追加被験者の登録を行う予定である。参加者のリクルートについては、研究計画書に沿って、行政との連携により行い、円滑に実施することが可能である。また、介入後の活動継続にむけ、NP O法人とも協働し、活気ある高齢者コミュティの形成を促すことで、本研究およびその後の筋負荷運動プログラムは健康増進に加え、社会貢献という社会的欲求にもフォーカスを当てる地域発の健康推進モデルの発信を目指すことができる。 また、メディアへの積極的な情報提供を行い、学会発表を実施することで、産官学連携の臨床研究の認知度を向上していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究登録人数によって、研究登録時とアウトカム測定時の検査費用としての計上額が異なるため、次年度へ繰り越すことになった。次年度は残りの研究登録者数に対して検査費用として助成金の使用していく予定である。また、研究備品の購入等にも使用予定である。
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