非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームと相互に病態を悪化させるため、2型糖尿病患者にとってNAFLDの改善は重要な課題である。女性においては更年期以降にNAFLDの発症率が上昇することから、NAFLD発症とエストロゲン低下には関連があると報告されている。大豆に含まれるイソフラボンは腸内細菌により代謝されてエストロゲン作用をもつエクオールを産生する。本研究では更年期モデルマウスにおいて大豆イソフラボンの投与によりNAFLDが改善することを明らかにした。さらにはイソフラボン投与群では、ヒラメ筋や足底筋などの骨格筋重量が増加し、MuRF1などの筋萎縮関連遺伝子の発現が低下した。腸内細菌叢解析において7つの分類群(Butyricimonas属、Peptococcus属など)が過剰発現し、4つの分類群(Pseudoflavonifractor属など)が過小発現した。以上の通り、イソフラボン投与による腸内細菌叢の改変を通して、NAFLDの改善、骨格筋重量の増加を認めた。
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