研究課題/領域番号 |
22K17792
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
松本 奈々恵 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 特任研究員 (80896639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DKI / 検者内信頼性 / 検者間信頼性 / MMSE |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、拡散尖度画像(DKI)を用いて認知予備能の神経基盤の解明を行うことである。本研究では、当センターで実施している「認知症のリスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究(J-MINT研究)」で取得した被験者のDKIを用いて研究を進める。そこで本年度は、J-MINT研究で取得した約360名の脳画像解析を開始することとした。本研究の画像解析を進める前に、まず画像解析方法に問題はないか検者内・検者間信頼性を級内相関係数を用いて検討した。その結果、検者内・検者間信頼性ともに級内相関係数は0.9以上であった。このことより、本研究における画像解析方法の信頼性は高く、問題はないことが明らかになった。また、被験者47名のDKIを画像解析し、得られた結果の妥当性を検討した。妥当性の検討方法は、各被験者のMini-Mental State Examination (MMSE)と関連する脳領域を大脳の灰白質の各脳領域から探索し、得られた結果を先行研究と比較することである。MMSEと関連する脳領域を探索した結果、いくつかの脳領域の構造が複雑なほど、MMSEの点数が高いことが明らかになった。そして、DKIを用いてMMSEと関連する脳領域を調べた先行研究と本解析の結果を比較した結果、関連する脳領域に大きな相違はみられず、本解析における画像解析結果の妥当性はあることが示された。これらによって、本研究における画像解析方法と画像解析結果に問題はないことが示されたため、本研究における被験者360名の画像解析を進めた。2022年度末までに約360名のうち半数以上のDKIの画像解析が終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の計画は、被験者から取得したDKIの画像解析を実施することであった。現在のところ計画通りに画像解析は進んでおり、大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、DKIの画像解析を進め、画像解析で得られた結果をもとに統計解析を行う予定である。まず実施する統計解析としては、本研究における課題二つのうちの一つである「認知予備能の高さの違いによる大脳の灰白質と白質の組織構造の差異を明らかにする」ための統計解析である。認知予備能を表す因子である教育年数などを用いて、各被験者の認知予備能の高さを算出し、それに関連する脳領域をDKIの画像解析によって算出したmean kurtosis(MK)とfractional anisotropy(FA)を用いて全脳から探索する。計画では、この認知予備能に関連する灰白質における脳領域の探索に用いるDKIのパラメーターはMKのみを使用する予定であった。しかし、2022年度に実施した「得られた画像解析結果の妥当性を検討するための解析(以下、本解析とする)」において、MKだけでなく、mean diffusivity(MD)も関連する灰白質の脳領域の探索に利用できることが明らかになった。MKは脳の水分子の平均尖度を表し、MDは平均拡散を表す。MKは灰白質の組織構造を表す指標として用いられることが多いが、MDは灰白質よりも白質の組織構造を表す指標として用いられることが多い。しかし、本解析の結果ではMKにおいてMMSEと関連する脳領域とMDにおいてMMSEと関連する脳領域は等しかった。このことから、MKはMDと同様に灰白質における脳領域を探索するためのパラメーターとして使用できることが明らかになった。MDの解釈方法については先行研究でも議論されている点であり(Xiaoqi Chu2022)、本解析で明らかにすることができた。 本年度は、全被験者の画像解析を終了させ、画像解析で得られたMK、MD、FAを用いて統計解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の予算計画では人件費を計上していた。予算計画上では、本研究において看護師を雇い、被験者に対し認知機能検査を実施してもらう予定だった。しかし、当センターで実施している他研究で取得した本研究の被験者の認知機能検査の情報を本研究において使用可能になったため、新たに被験者に対し認知機能検査を実施する必要がなくなった。そのため、本年度は看護師を雇わず、人件費として計上していた経費が残り次年度使用が生じた。
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