研究課題/領域番号 |
22K17810
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山下 由莉 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (50821675)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動 / メカニカルストレス / 骨格筋 / 細胞外マトリックス / ヘパラン硫酸プロテオグリカン |
研究実績の概要 |
神経変性疾患に対する運動効果が報告され、分子メカニズムの詳細解明やそれに基づく運動模倣薬の開発が注目されてきた。神経変性疾患における異常タンパク質の蓄積には細胞外マトリックス分子であるヘパラン硫酸プロテオグリカンが関与することが知られているが、申請者らはヘパラン硫酸プロテオグリカンが骨格筋におけるメカノレギュレーターとして機能している可能性を見出してきた。そこで本研究は、運動刺激が細胞外マトリックス分子を介してどのように異常タンパク質の凝集・伝播に働きかけているかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、骨格筋-脳連関を司る骨格筋由来の細胞外マトリックス分子の同定にむけ、C2C12細胞に電気刺激をかけた細胞運動モデルを用いてヘパラン硫酸プロテオグリカン関連遺伝子の発現量変化を確認した。結果、電気刺激施行時間により発現量が上昇する分子と低下する分子が見出された。これはメカニカルストレスの負荷程度に応じた骨格筋細胞における細胞外分子応答を反映している可能性があるが、C2C12細胞は培養・電気刺激時間により分化程度も変化することなどから分化程度や骨格筋損傷マーカーなどとの関連も注意する必要がある。また、以前の研究課題において、Treadmill単回運動後のマウス骨格筋で上昇することを確認しているヘパラン硫酸鎖修飾酵素の発現量に関しても、長時間電気刺激群で発現量が低下する傾向があったことから、運動強度やマウス骨格筋に含まれる骨格筋細胞以外の構成要素の影響もふくめ生体における運動効果を検証する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨格筋-脳連関の分子機構解明にむけ、以前より着手しているin vivoにおける運動負荷実験結果とin vitro系の併用により、標的となる細胞外マトリックス分子の絞り込みが進んだ。異常タンパク質の凝集との関連評価系の構築が今後必要と考えられるが、神経細胞への骨格筋培養上清添加実験にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
上記細胞運動モデルの精度を高め、骨格筋由来の遠隔効果をもたらす細胞外分子の絞り込みを進めるとともに、異常タンパク質の凝集・細胞内蓄積への関与を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)In vivo実験では複雑な因子が絡み合うが、細胞運動モデルの利用により効率的に関連分子の絞り込みを行うことが可能となったため。 (使用計画)上記in vitro系の有効利用により可能な限り動物実験に対するReplacementの実施を引き続き行う。異常タンパク質関連製製品の購入等を含め、今後の筋-脳連関解析実験に使用する。
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