• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

細胞老化の進行過程におけるSASP因子の発現動態と制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K17820
研究機関国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

杉山 悠真  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 研究員 (30869384)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード細胞老化 / SASP / 同調発現制御
研究実績の概要

最終年度は、昨年度実施したトランスクリプトーム解析、ATAC-seqとその情報をもとにしたモチーフ解析などから絞り込んだ転写制御遺伝子の候補について、各老化段階にあるMEFでの正確な発現レベルをRT-qPCR法によって確認し、レンチウイルスを用いたノックダウンを試みた。その結果、shRNAによる候補遺伝子のノックダウンは成功したが、SASP因子の発現に対する影響を評価するには至らなかった。原因としては、レンチウイルス感染による細胞内の感染応答が原因だと考えられる。したがって、効率と効果時間は劣るがリポフェクション法など感染応答が起きにくいと予想される遺伝子導入法の検討が必要であることが明らかとなった。
研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、これまで細胞老化の進行とともに上昇し続けると考えられてきたSASP因子のうち、多くのものが実は一過的に発現してそのあと発現量が低下するという興味深い挙動をとらえたこと、またその中で同調した発現パターンを示す遺伝子群がみられることを明らかにした。さらに、網羅的なエピジェネック解析と通し、細胞老化の進行とともにオープンになるクロマチン領域があること、その領域に結合する可能性のある転写制御因子のうち、着目したSASP因子と同じ発現パターンを示すものが存在することなどを突き止めた。これらの現象は、細胞老化あるいはその悪性形質の実態であるSASPを制御する上で、非常に有益な知見であると考える。
またp16hCD2マウスを用いた組織中の老化細胞の評価では、T細胞老化のひとつであるp16陽性T細胞集団の可視化と除去に成功し、加齢とともに増加するこの細胞集団が免疫老化の表現型の一部に関与している可能性を示唆することがわかり、論文として発表することができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A senolytic immunotoxin eliminates p16INK4a-positive T cells and ameliorates age-associated phynotypes of CD4+T cells in a surface marker knock-in mouse2023

    • 著者名/発表者名
      Yuma Sugiyama, Tanenobu Harada, Yuka Kamei, Tomoharu Yasuda, Tomoji Mashimo, Akihiko Nishikimi, Mitsuo Maruyama
    • 雑誌名

      Experimental Gerontology

      巻: 174 ページ: 112130

    • DOI

      10.1016/j.exger.2023.112130

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A senolytic immunotoxin eliminates p16INK4a-positive T cells in a surface marker knock-in mouse and ameliorates age-associated phenotypes of T cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Yuma Sugiyama
    • 学会等名
      IAGG Asia/Oceania Regional Congress 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] セノリティックイムノトキシンによるp16INK4a陽性T細胞の除去とT細胞集団における加齢に伴う表現型の緩和2023

    • 著者名/発表者名
      杉山悠真
    • 学会等名
      第45回日本基礎老化学会大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi