研究課題/領域番号 |
22K17824
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中井 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (80753285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 中枢末梢相関 / 代謝 / モデルマウス / APP-KI |
研究実績の概要 |
本研究はアルツハイマー型認知症(AD)における次世代モデルマウス(APP-KIマウス)を用いて、AD病態により引き起こされるエネルギー代謝調節に関わる中枢末梢相関の維持・破綻機構の解明を行うことを目的とし、APP-KIマウスの末梢と中枢とを合わせた双方から統合的な解析を行った。 まず、カロリー制限による想定以上のAPP-KIマウスの体重減少および死亡率増加を引き起こす原因について調べるために、脳へのアミロイドβ(Aβ)の蓄積が十分に認められる老齢のAPP-KIマウスに対し、カロリー制限を行った後、血液生化学的検査を行った。その結果、野生型と比較していくつかの全身性パラメータで異常が認められた。これらの結果から、障害があると予想された臓器を絞ったうえで、さらにカロリー制限を行っていない老齢のAPP-KIマウスでHE染色を行うことで障害の認められる臓器を特定することができた。一方で、この臓器への障害は脳でのAβ蓄積が軽度に認められる月齢のマウスでは認められなかった。このことから脳へのAβ蓄積が末梢の臓器障害に関係している可能性が考えられた。次に、老齢のAPP-KIマウスにおけるこの臓器障害を引き起こす原因因子について探索した。障害を引き起こす原因がこの臓器における直接的なAβ蓄積や炎症にあるのではないかと考え、抗Aβ抗体による免疫染色およびIL-6をターゲットとしたRNA scopeを行った。しかしながら、APP-KIマウスのこの臓器へのAβ蓄積およびIL-6発現は認められなかった。 以上の結果より、APP-KIマウスでの代謝恒常性の破綻における中枢末梢相関の新たな知見を得ることができた。一方で、その原因因子を特定するという課題が次年度に残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老齢マウスを中心とした実験に切り替えたため、老齢マウス作成のために長期の期間を要することとなった。研究の遅延が予想されたが、老齢APP-KIマウスにおいて障害の認められる臓器を特定するという今年度の目標は着実に達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は老齢のAPP-KIマウスの臓器障害の原因因子を特定するため、以下の実験を計画している。 APP-KIマウスの臓器に対して、 実験1:細胞毒性の高いAβ42、代表的な炎症マーカーやオートファジーマーカーなどをターゲットとして、ELISA、real-time PCRやウェスタンブロッティング法などを用いて、障害を引き起こす原因因子を特定する。 実験2:実験1で原因因子の特定できなかった場合、RNA-seq又はプロテオーム解析などのオミックス解析を利用して原因因子を探索し、その後、real-time PCRやウェスタンブロッティング法などを用いて原因因子を特定する。 原因因子を特定次第、その因子とAβ蓄積の状況をもとに、APP-KIマウスの中枢末梢相関について行動解析などを含め詳細な解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
老齢マウスを中心とした実験に切り替えたため、老齢マウス作成のために長期の期間を要することとなった。このことにより、末梢の臓器障害の原因因子の探索が次年度の研究の中心となったことから、研究費の有効利用と研究計画の円滑な実施のため生じた。また、今年度も新型コロナウイルスの蔓延が続いていたことにより学会参加を自粛したため生じた。使用計画としては次年度末梢の臓器障害の原因因子の探索を行うため、必要な抗体および試薬の購入またはRNAseqなどの外注費用に充てる。
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