研究実績の概要 |
本研究は、若年・中年男性を対象として、睡眠負債・睡眠時無呼吸症候群と、血圧、臓器障害の関連を一元的に調べることを目的とした疫学研究である。睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満であり、まずは若年・中年男性の肥満に焦点を当て、疫学的検討を行った。
日本人職域男性において、朝食抜き・喫煙の習慣が肥満発症に与える影響について検討し、下記の研究成果を第44回日本高血圧学会総会(京都)において発表した。
日本人職域集団において2006年~2018年に健診を受けた男性従業員のうち、初回健診時に肥満(Body Mass Index: BMI 25 kg/m2以上)の者および単回受診者を除外した4149人を対象に、望ましくない生活習慣と肥満発症の関連についてCox比例ハザードモデルを用いて検討した。年齢調整後の朝食抜き群における肥満発症のオッズ比は朝食を摂る群に比し有意に高かったが(ハザード比(HR) 1.197, 95% 信頼区間(CI): 1.042-1.376, p=0.012)、年齢、現喫煙、運動習慣の有無で調整後、その関連は弱まった(HR 1.133, 95%CI 0.981-1.308, p=0.09)。また、喫煙の肥満発症に対する影響を検討すると、現喫煙者は非喫煙者に比し肥満発症のリスクが有意に高かった(年齢調整HR 1.305, 95% CI: 1.135-1.500, p=0.0002)。さらに、朝食抜きの食習慣と肥満発症の関連を喫煙の有無別に検討すると、朝食を摂る非喫煙者に比し、朝食を抜く非喫煙者では肥満発症が有意に増加し(年齢調整HR 1.339, 95% CI: 1.071-1.675, p=0.01)、そのハザード比は現喫煙者と同等であった。本検討により、禁煙指導とともに朝食抜きに対する生活指導も肥満予防に重要であることが示唆された。
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