研究課題/領域番号 |
22K17837
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
隈本 宗一郎 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (30930987)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 染色体不安定化 |
研究実績の概要 |
個体の様々な細胞種における老化細胞特異的な遺伝子発現パターンや核相異常などが明らかになりつつある。しかし、老化細胞で示唆されているマイクロサテライト不安定化に関して、配列特異性、頻度および変異導入メカニズムは明らかになっていない。また老化状態検出法において、血中成分や遺伝子発現を指標にした老化や特定加齢性疾患の評価が試みられているが、いまだ早期老化状態を反映するマーカー遺伝子は特定されていない。従来の検出法の問題点として、マーカー遺伝子の発現量が低く、RNAはゲノムDNAと比較して不安定であるため取り扱いや長期保存が難しかった。従って、加齢におけるマイクロサテライト不安定化の解析を進めてきた。2022年度は哺乳類ゲノムに対してリピートプローブを用いたゲノム解析が報告されていなかったため、初めにAGリピートプローブによるマイクロサテライト解析を実施した。コントロールとして若年のC57BL/6NJclマウスより肝臓、肺および腎臓を摘出し、MiCAPsによるライブラリーを作成した。結果、各ライブラリー間で検出される遺伝子座が異なっており、安定して検出可能な共通の遺伝子座を絞り込む必要がある。また、クラスタリング解析の結果から、各サンプル間でのマイクロサテライト配列の相関は類似していたものの、いくつかのサンプルではクラスタリング位置が外れており、取得するデータ量およびマイクロサテライト領域を決定し、最適な条件を検討する。以上の結果から、マウスをモデルとして、AGリピートを対象としたマイクロサテライト領域の網羅的なデータを取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は近交系のマウスにおけるMiCAPs法を用いたAGリピートの網羅的なマイクロサテライト領域の解析を実施した。結果、マイクロサテライト領域を含む多数の遺伝子座を検出することができ、従来、分類学のみの解析手法であったMiCAPs法の応用が可能になった。しかし、当該研究者の異動に伴い一時的に実験が停止する期間があったため、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、老齢マウス個体からの各組織のサンプリングを進め、マイクロサテライト領域の変異率を若年マウスと比較する。また、変異率の高い遺伝子座を特定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究者の異動に伴い、実験環境の変化があったため、予定していたマウス実験を翌年度に振り替えての実験を予定している。
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