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2023 年度 実施状況報告書

解グラフ技法を用いた列挙に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K17849
研究機関法政大学

研究代表者

和佐 州洋  法政大学, 理工学部, 准教授 (00781337)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード列挙アルゴリズム / 理論計算機科学 / 列挙
研究実績の概要

理論計算機科学における重要な問いとして,「実行可能解はいくつ存在するか」が挙げられる.この文脈において,解の個数を計数する問題と全ての解を実際に出力する問題の2つの観点で研究が進められているが,本研究では,後者を列挙問題と呼び,これに関して研究を行う.列挙問題は理論・応用両面において頻出する問題である.例えば,ユーザーが自身の嗜好を正確に定義できない場合,例えば夕食でどのレストランに行くか決める時などでは,ある程度候補となる対象を列挙し,その後実際にユーザーが目で見て自身の嗜好に適った対象を選ぶ,というような状況で列挙は重要な役割を果たす.このような状況では,効率良いアルゴリズムが提供されることは非常に重要である.これまで列挙アルゴリズムを構成するための様々なフレームワークやメタアルゴリズムが開発されてきたが,その適用範囲は限定されており,より汎用的な構築技法の確立が課題となっている.さらにそのようなフレームワークの適用限界についても全く明らかでない.本研究では,(1)スパース化を用いた解グラフ技法と呼ばれるフレームワークの拡張,および,(2)局所的な構造に着目したメタアルゴリズムの開発を目的として研究を行う.令和5年度は,令和4年度に引き続き(1)に注力したが,残念ながら目ぼしい成果を得ることはできなかった.一方で,副産物的にいくつかの問題に関して成果が得られたため,それらの発表を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度に挙げた今後の推進方策である「(1) のスパース化に関して,Cohen らのアルゴリズムを愚直に適用できない範囲の問題に対して適用できないか検討」については,自明な例を除いてのアルゴリズムの構築に成功しなかった.また,グラフアルゴリズム以外の列挙問題であるシグネチャに関する問題にも取り組み,より範囲を広げて適用範囲を検討したが,大きな進展は得られなかった.

今後の研究の推進方策

令和6年度も引き続き,最近提案された列挙アルゴリズムを一度洗い出し,本問題について考察していく.特にシグネチャの列挙に関しては,未解決な部分も多い.これまでの SAT ソルバなどの知見も組み合わせることで,何らかの新しい知見が得られないか模索する.また,局所的な構造に着目したメタアルゴリズムの開発も今年度は重点的に行う.

次年度使用額が生じた理由

当該年度については旅費について予定よりも大きな執行額となり,国際的な研究活動が行えたが,令和4年度未使用だった部分までに執行にはいたらなかったため,次年度使用額が発生した.令和6年度についても,欧州に拠点を構える共同研究者を訪問し,研究を進めていく.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] On the hardness of inclusion-wise minimal separators enumeration2024

    • 著者名/発表者名
      Brosse Caroline、Defrain Oscar、Kurita Kazuhiro、Limouzy Vincent、Uno Takeaki、Wasa Kunihiro
    • 雑誌名

      Information Processing Letters

      巻: 185 ページ: 106469~106469

    • DOI

      10.1016/j.ipl.2023.106469

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polynomial-Delay Enumeration of Large Maximal Common Independent Sets in Two Matroids2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuaki Kobayashi, Kazuhiro Kurita, and Kunihiro Wasa
    • 雑誌名

      The proceedings of In 48th International Symposium on Mathematical Foundations of Computer Science (MFCS 2023)

      巻: 272 ページ: 58:1 - 58:14

    • DOI

      10.4230/LIPIcs.MFCS.2023.58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reconfiguration and Enumeration of Optimal Cyclic Ladder Lotteries2023

    • 著者名/発表者名
      Nozaki Yuta、Wasa Kunihiro、Yamanaka Katsuhisa
    • 雑誌名

      The proceedings of the 34th International Workshop on Combinatorial Algorithms (IWOCA 2023)

      巻: 13889 ページ: 331~342

    • DOI

      10.1007/978-3-031-34347-6_28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reconfiguration of Spanning Trees with Degree Constraints or Diameter Constraints2023

    • 著者名/発表者名
      Bousquet Nicolas、Ito Takehiro、Kobayashi Yusuke、Mizuta Haruka、Ouvrard Paul、Suzuki Akira、Wasa Kunihiro
    • 雑誌名

      Algorithmica

      巻: 85 ページ: 2779~2816

    • DOI

      10.1007/s00453-023-01117-z

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 弦グラフの部分クラスにおける極大誘導部分グラフ列挙への多項式遅延アルゴリズム2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 嶺, 小林 靖明, 栗田 和宏, 和佐 州洋
    • 学会等名
      コンピュテーション研究会
  • [学会発表] 直並列グラフに含まれる極小誘導シュタイナー部分グラフの列挙2023

    • 著者名/発表者名
      大野木 駿,和佐 州洋
    • 学会等名
      コンピュテーション研究会

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公開日: 2024-12-25  

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