研究課題
離散凸解析における重要な関数クラスであるL凸関数は,ある特別な単体的複体の頂点上に定義された関数とみなすことができる.そこで「どのような単体的複体上なら適切にL凸性を拡張できるか」を念頭に,単体的複体の理論や性質に関する調査を行った.その過程で,球面と同相な単体的複体の頂点彩色間の遷移に対して,その遷移可能性をある程度特徴づける良い不変量や,遷移可能性判定問題の計算量の解析を行った.本研究成果は,"Reconfiguration of colorings in triangulations of the sphere"として論文にまとめ,理論計算幾何学のトップカンファレンスであるInternational Symposium on Computational Geometry (SoCG)に採択された.また,これに関連して,遷移制約を入れた彩色遷移に関する研究"Algorithms for coloring reconfiguration under recolorability digraphs"が理論計算機科学の国際会議であるInternational Symposium on Algorithms and Computation (ISAAC)に採択された.本研究課題に関する基礎研究として,双劣モジュラ関数の共役に対応するBS凸集合に対する「hole-free性を仮定しない交換公理的な特徴づけ」を与えた.この成果は"Characterizations of the set of integer points in an integral bisubmodular polyhedron"として論文にまとめ,現在査読付き国際論文誌に投稿中である.
2: おおむね順調に進展している
双劣モジュラ関数の共役に対応するBS凸集合に対する「hole-free性を仮定しない交換公理的な特徴づけ」は,離散凸解析における双対理論の深化に向けた基礎的かつ重要な成果だと考えている.また,単体的複体に関する文献の精査や研究も順調に進んでおり,研究計画はおおむねに順調に進展していると評価できる.
今年度の文献調査で得られた拡張の方向を念頭に,より一般的な単体的複体上の関数における双対理論の構築を目指す.
予定していた出張に行けなくなってしまったため.繰越金額と合わせて海外渡航費に用いる予定である.
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Proceedings of the 39th International Symposium on Computational Geometry (SoCG 2023)
巻: - ページ: -
Mathematical Programming, Series A
Proceedings of the 33rd International Symposium on Algorithms and Computation (ISAAC 2022)
巻: LIPIcs 248 ページ: 4:1--4:19
10.4230/LIPIcs.ISAAC.2022.4
http://www.lab2.kuis.kyoto-u.ac.jp/iwamasa/ja/research.html