研究課題/領域番号 |
22K17862
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
土田 潤 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (40828365)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 多次元尺度構成法 / 2値分類 / ロジスティック回帰分析 |
研究実績の概要 |
本研究は“非対称ノルムを誤差関数に用いる多変量解析手法”という観点から,独立に提案された分位点を推定する多変量解析法を一つのフレームワーク(モデル+推定法)で統合することを試みる.2022年度においては2つの研究成果を得た. 1つは非対称ノルムを誤差関数とした多次元尺度構成法を提案した.多次元尺度構成法は多くの多変量解析と関連のある手法であり,非対称ノルムを誤差関数に用いる多変量解析手法を一つのフレームワークで統合する足掛かりになると考える.さらに,非対称ノルムを誤差関数とした多次元尺度構成法の推定値の計算法として,Majorization-Minimization algorithm(MM algorithm) を導出した.このMM algorithmは,誤差関数の優関数を導出しているため,他の多変量解析法でも利用可能であることが期待される. もう1つは,非対称な評価関数を最大化するロジスティック回帰分析を提案した.ここで,2値判別における非対称な評価関数とは,ラベルによって重みが異なるものを指す.今回は非対称な評価関数としてF-measureを用いた.F-measureは,興味のあるラベルを正確に予測・抽出できているかを表す指標であり,一方のラベルに対して重要性が高く設定された評価関数である.本研究では,F-measureを最大化するロジスティック回帰分析を提案した.非対称な評価関数は直接的に非対称ノルムには関係ないが,この成果は非対称性を持つ誤差関数を考えていく過程で得られたものである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度において,非対称ノルムを誤差関数とした多次元尺度構成法を提案できているため,おおむね順調に進呈しているとした.多次元尺度構成法は最小2乗法という枠組みでは,多くの多変量解析と関連のある手法である.そのため,本研究課題である非対称ノルムを誤差関数に用いる多変量解析手法を統合するフレームワークを考えるための足掛かり的な研究となると考える.しかし,分位点を推定するという枠組みでの統一が可能かどうかが十分に検討できていない.特に分位点推定に対応した主成分分析のスコアとの関連について,十分な検討ができていないままでの提案となっている.まとめると,足掛かりができているが,それ以上の十分な検討ができていない.以上より,やや遅れていると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度では,目標である,既存の多変量解析法を非対称ノルムにもとづく誤差関数最小化で定式化し,分位点を推定するための推定量とアルゴリズムを構築するしていく.そのために,現在提案した,多次元尺度構成法と分位点推定に対応した主成分分析のスコアの推定の関連性について研究する.関連性を明らかにしたのちに,非対称ノルムを利用した多変量解析法のモデルと推定法について,統一的な記述ができないかを模索していく. これらの成果は,適宜,学会発表や論文投稿を通じ報告していく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額では目的の書籍等を買うことができなかったため,このような金額となった. 残額は次年度以降,書籍や論文の購入に充てる予定である.
|