研究課題/領域番号 |
22K17864
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
力丸 佑紀 統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 特任准教授 (80736009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 空間自己回帰モデル / 空間ラグモデル / エッジエフェクト / 弱定常性 / 最尤法 |
研究実績の概要 |
空間計量経済学における空間ラグモデルの最尤法によるパラメータ推定について,漸近有効推定量を得るには8つの仮定が必要だと述べているLee(2004)の主張に基づき,空間モデルに必須な空間重み行列の設定を隣接行列(空間計量経済学でよく使われる),空間オルシュタインウーレンベック過程(Whittleモデルの形に書き換え可能),巡回行列(空間ラグモデルと似たモデルの空間斉次自己回帰モデルにおける近似尤度を提案したRikimaru and Shibata(2016)の近似尤度で計算を容易にするために用いた)の3つの場合で考え,Leeの仮定を具体的にパラメータの条件として表現しなおし,空間統計学で設定される弱定常性の仮定との包括関係を理論的に示した.その包括関係を探る中で,Lee(2004)は実際のデータ生成メカニズムに弱定常性を仮定しておらず,データ生成メカニズムとモデルを同じものとして扱い,行列演算で表現していることがわかった.しかし,データ生成メカニズムを行列演算で表現した場合,空間過程ではそのエッジエフェクトが積の形で現れ,その影響が非常に大きくなりやすく無視できないため,不自然な設定になるはずである.そこで,まずはその不自然さを探るために,行列演算を用いているLee(2004)の推定法において,観測領域を広げたときに,空間ラグモデルの誤差の共分散構造にどのような変化が起きるのかに注目して具体的に数式で計算しているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定の範囲内で結果が出ており,計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている誤差の共分散構造の計算の結果,Lee(2004)のデータ生成メカニズムの設定が不自然だと判明した場合,Lee(2004)が提案した尤度による推定量の評価が必要になる.予想としてはLee(2004)の方法ではエッジエフェクトの影響が大きく,漸近有効性を実現できないと考えている.そこで,令和5年度は漸近有効性を実現する尤度を検討していく.その手始めとして尤度へ導入する縮小率を決定するつもりであるが,これはRikimaru and Shibata(2016)における空間斉次自己回帰モデルの近似尤度の研究を参考にし進められるものと考えている.
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