研究課題/領域番号 |
22K17869
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
大江 和一 国立情報学研究所, クラウド基盤研究開発センター, 特任准教授 (80417451)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | IOアクセスログ分析 / ハイブリッドストレージ / キャッシュ置換アルゴリズム / 資源再配分 |
研究実績の概要 |
本年度は、各アプリケーションのIOアクセスの時間的・空間的局所性をリアルタイムに分析し、各アプリケーションに必要なキャッシュ領域とキャッシュ方式を選択し(HSSC Analysis-engine)、OS側のデバイス領域とキャッシュ方式の変更(HSSC driver)を行う試作システムの実装・動作確認まで進めた。 HSSC Analysis-engineは、アプリケーションごとにIOアクセスのトレースをリアルタイム取得して分析を行い、全分析結果を用いて各アプリケーションのキャッシュ領域とキャッシュサイズの決定を行い、OS側に変更を指示する。アプリケーション層で動作し、Pythonを用いて実装した。 HSSC driverは、Linux device-mapper driverとして実装した。以前行った研究で開発したATSMF driverの実装を拡張し、1) ATSMFモード、2) non cacheモード、3) 外部cache driverモード、の3モードをからの操作で変更出来るように設計・実装した。外部cache driverモードは、HSSC driverとは別のLinux device-mapper driverをHSSC driverにattachし、HSSC driverが受け取ったIO要求をattachしたdriverにフォーワードするモードである。HSSC Analysis-engineの判定に合致したキャッシュ方式の実装が行われたdriverを選択し、指定されたキャッシュサイズでそのdriverを初期化したうえでHSSC driverにattachする。これらの成果は、HSSC driverのみIPSJ 2月研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSSC Analysis-engineとHSSC driverが完成し、提案方式の評価が出来るところまで到達した。本年度の外部発表は試作システムの設計・実装を優先させたため1件に留まったが、次年度は完成した試作システムの評価を行うことで複数の外部発表が可能な状況となった。 なお、NVM領域を必要とするアプリケーションに低遅延でアクセスする技術に関しては、既存研究が複数報告されており、優先度を下げて進めた。
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今後の研究の推進方策 |
完成したHSSC Analysis-engineとHSSC driverを用いた提案方式の評価を進め、その成果の外部発表を行っていく。HSSC Analysis-engineに関しては、評価結果によるアルゴリズム等の改良も行い、提案方式をさらに進化させていく。 NVM領域を必要とするアプリケーションに低遅延でアクセスする技術(NVM領域プール化技術)に関しては、既存研究との違いが示せる領域に限って進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試作システム(HSSC Analysis-engineとHSSC driver)の設計・実装に注力したため、外部発表が少なく、未使用分が発生した。未使用分は令和6年度の研究会や国際会議への論文投稿、英文校正費、参加時の経費として利用予定である。
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