環境問題への対策として、微小なエネルギーを回収してデバイス動作に用いるエナジーハーベスティングが有効である。微細化が可能な小型太陽電池とCMOS回路を組み合わせることで、これまでにないサイズのデバイスを作製可能となる。そのデバイス駆動のためには、得られるエネルギーがごく微量であることから、できる限り低消費電力化がなされることが望ましい。一般にシステム制御に用いられるのはCPUだが、専用のデジタル回路と比較すると消費電力の高さが課題となる。専用回路をCPUを補佐する目的で用いられることもあるが、専用回路はチップ製作後に書き換え不能であるため、製作コストの高いCMOSチップ専用となってしまう。CPUの良さはプログラム書き換え可能であることなので、その利点を潰してしまう。その問題解決策の一つとして、機械学習回路がある。CPUより低消費電力であり、その重みを書き換えることでチップ製作後もその機能を一部変更することが可能である。最終年度においては、初年度に準備・検討した環境で動作可能な機械学習ツールによるBNNなどのモデルの検討を行った。外れ値を検出する回路に関しては動作させることが可能であると分かったため、構築した機械学習モデルで動作可能なBNNのモデルにおいて、ハードウェア実装で外部パラメータによりモデルサイズを変更できる特殊なBNN回路をサイズを変えて複数実装した。これは、モデルサイズが大きすぎて過学習のようになる場合にもチップ製作後に対処可能なモデルである。それ以外には、重みなどを乗せる回路機械学習チップ用に用いる不揮発性メモリの検討のほか、これに加えて、機械学習回路を低電圧で駆動するためのデジタル回路の基本ロジックについて回路を試作した。
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