研究課題
まず、2022年度に得た次の研究結果(i),(ii)を論文としてまとめた: (i)多変数署名方式MAYO, QR-UOVへのRectangular MinRank攻撃の適用とその計算量評価について、(ii)UOV多項式に付随するHilbert級数の研究について。(i)については国際会議IWSEC2023に採録され、(ii)は電子情報通信学会が発行する「暗号と情報セキュリティ小特集」に採録された。その後、(i)についてはRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価が未解決として残っていたが、特定のパラメータ条件においていくつかの代数的仮定をおくことでその計算量を理論的に導出し、実験によって実際の計算量と一致することを確認した。また、NISTのPQC署名方式の追加公募に投稿されている署名方式VOXに対するRectangular MinRank攻撃の解析を行い、VOXが提案したパラメータセットが安全でないことを証明した。またこの攻撃によって、128ビット安全な提案パラメータが3時間以内で解読できることを実験で確認した。VOXに関するこの結果は上記(i)の結果と合わせて論文化し、ジャーナル論文へ投稿中である。さらに、この結果をNISTが行う第5回 NIST PQC Standardization Conferenceに投稿し、2024年4月にアメリカにて発表することが決定している。
2: おおむね順調に進展している
執筆した論文も採録され、上記のように今年度も新たな成果が得られたため。
全てのパラメータにおけるRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価の導出を行う。また、UOVのHilbert級数を利用した高速なグレブナー基底計算または求解アルゴリズムについて研究する。
予定していた本の購入が不要となったため。次年度では別の本の購入を検討する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
IEICE Transaction on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (Special Section on Cryptography and Information Security)
巻: Vol.E107-A, No.3 ページ: 275-282
2024 Symposium on Cryptography and Information Security (SCIS2024)
巻: - ページ: -
Proceedings of the 24th World Conference on Information Security Applications (WISA 2023)
巻: LNCS 14402 ページ: 40-51
Proceedings of IWSEC 2023
巻: LNCS 14128 ページ: 101-116
電子情報通信学会技術研究報告
巻: Vol.123, No.129, ISEC2023-31 ページ: 113-118