2022年度は、まず近傍探索の理論面に着目し研究を行った。主として、次の二点に関して研究を行った。(1) グラフインデクスの分散構築。グラフベースの近傍探索データ構造は現在最も広く使われている。一方で、グラフベースのインデクスは構築が遅く、特に並列化しづらいという欠点があった。我々はアルゴリズムを分解し並列可能にすることで、インデクスの構築を高速化する研究を行った。(2) データ重複が与える精度変化への影響の調査。近傍探索の文脈では、全く同じ冗長データや、わずかに違うだけのデータが存在しうる。しかし、それらのデータが探索性能に与える影響は知られていなかった。私たちは評価指標を整理し人工データを用いることで、そのようなデータ重複が精度に与える影響を調査した。上記のそれぞれに対し、コンピュータビジョン分野における国内の最大の学会である画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)にて発表を行った。(2)の内容については、優秀な論文のみ選ばれるShort Oralに選定され、口頭発表を行った。
|