研究課題/領域番号 |
22K17933
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
LIU CHANG 京都大学, 医学研究科, 助教 (30944087)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 聴覚性選択性注意の促進 / 高度な訓練 / 最小限な操作 |
研究実績の概要 |
実際の社会生活場面を模したVR郵便局タスクを実装し,療法士としての専門知識を持つ健常者17名を対象に,有用性調査を主目的とした被験者実験を行った.実験結果を元に,2022年5月18日から5月20日に行られた「第66回 システム制御情報学会 研究発表講演会」にて,「没入型バーチャルリアリティを利用した認知リハビリテーション」を題目に口頭発表を行った(https://sci22.iscie.or.jp/slots/322/).また同講演会にて,医療を支援するXR技術に関する情報収集を行った. 講演会でもらったコメントとアドバイスを参考に,実験データをさらに詳細に分析し, 1) VR課題は遂行機能及び視覚性の注意を従来方法と同等に要求することに加え,聴覚性の選択性注意の使用を有意に促進できる, 2) 会話能力を要求する課題を取り入れることで従来の認知機能訓練・検査より総合的かつ高度な訓練を行うことができる, 3) 没入型VRにおいて,頭部の回転運動及び決定ボタンのみに限定される最小限な操作でも,認知能力を対象としたリハビリを実現できる といった知見が得られた.その後,「遂行機能・注意リハビリテーションを目的とする没入型バーチャルリアリティ認知課題に関する検討」を題目に,ヒューマンインタフェース学会論文誌に学術論文として採択され,2023年25巻1号に掲載された(https://doi.org/10.11184/his.25.1_29).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では,VR課題の実装及び被験者実験を行い,そこで得られた知見が学術的に認められ論文発表を果たした.本研究が目指す「適切に情報を収集し処理する脳機能を訓練し向上させることができる新たなリハビリの創出」に向けて,おおむね順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
VR に会話能力を要求する課題を取り入れることで,従来の認知機能訓練・検査より総合的かつ高度な訓練を行うことができることを踏まえ,今後の研究方向性として,主に対話型AIを活用し,社会生活情景に対応した対話訓練を行える VR 課題を検討することが挙げられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年3月に購入したデータの保存用のオンラインドライブ(物品)の決済確定(165481円)が2023年4月(次年度)となったため,次年度使用額が生じた. 次年度では計画通りに予算を執行する予定である.
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