現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第1年度の計画においては、次の2点を計画していた。(1)一人称および三人称視点による対象物知覚の認知的特性を視覚情報処理の知見に基づいて分析し、これを操船学や安全工学の知見と結びつけることで、操船において各視点による状況認識がどのようになり得るかに関する作業仮説を構築する。 (2) 次に、この作業仮説を検証するため、視点以外の条件を統制する機能を持つ簡易操船シミュレータを開発する。これらの計画が前倒して実施しできたゆえ、実験まで行うことができた。実験の結果,海上の静止した対象物を避ける操船において、自船の上空から見下ろした俯瞰映像(三人称)の表示による操船であると、搭乗操縦船において操縦席から周囲を見る景観映像(一人称)の表示による操船に比べ、衝突する傾向が顕著であった.このことから、「障害物を避ける」という本能と結びついた行動は三人称では生起しにくいことが示唆された。この結果は、すでにインパクトファクターのある国際学会「The Journal of Navigation」に採録された。本研究は計画以上に進捗することができている。 Kato, Y., & Horiguchi, T. (2022). Effect of perception difference between first- and third-person perspectives on local and global situation recognition in ship handling. The Journal of Navigation, 75(3), 727-744. doi:10.1017/S0373463322000224
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