研究実績の概要 |
本研究の目的は情報端末に対する非接触入力を実現する上で必要な複数種類の手指動作(タップ、スワイプ等)の検知と、それぞれの動作の大きさの程度を定量が可能な検出器およびその学習手法を確立することである。センサには79 GHz帯域のミリ波レーダを採用し、データの解析には深層ニューラルネットワーク (Deep Neural Network, DNN) および申請者らがこれまでに確立したマルチインスタンス学習 (Multiple instance learning , MIL) とランキング学習Learning to Rank (LTR) を組み合わせたその学習方法を適用する。2022年度はミリ波レーダから取得される信号をレンジドップラ画像に変換し、DNNによる解析に適用することで手指動作の認識が可能であることを確認した。特にFFTのサンプリング点数等の設定にベイズ最適化を用いることで、10種の手指動作を89.8%の精度で識別可能であった。また、DNN に代えて時系列情報の扱いを得意とするスパイキングニューラルネットワーク (spiking neural network, SNN) を用いた手指動作認識手法の検討に取り組み、一定の成果(Miki et al., Signal Image and Video Processing, 2023)が得られているため、ミリ波レーダ信号の解析に適用できるように検討を行う。今後は行動識別モデルの学習時に LTR に基づく制約を加えることで、動作の大きさを定量可能とする。さらに、以上で確立した手法をミリ波レーダ信号の解析に適用し、実機を用いた評価を行う。以上の成果について2023年度は国内外での学会発表を予定している。
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