研究実績の概要 |
本研究の目的は情報端末に対する非接触入力を実現する上で必要な複数種類の手指動作(タップ,スワイプ等)の検知と,それぞれの動作の大きさの程度を推定可能な検出モデルおよびその学習手法を確立することである.センサには79 GHz帯域のミリ波レーダを採用し,データの解析には深層ニューラルネットワーク (Deep Neural Network, DNN) を用い,その学習のために代表者らがこれまでに確立したマルチインスタンス学習 (Multiple instance learning, MIL) とランキング学習(Learning to Rank, LTR) を組み合わせた方法を応用する.これまでに,ミリ波レーダから取得される信号をrange doppler map (RDM) に変換し,提案手法により学習されたDNNにより手指動作認識が可能であることを確認した.特にFFTのハイパパラメータの設定にベイズ最適化等を用いることで識別精度の向上が可能であることを明らかにした.さらに,MILおよびLTRを応用した学習手法に関する検討を行い,アノテーションの付与されていないデータから手指の動作を決定づける特徴を抽出し,手指ジェスチャのローカライゼーションができるように学習が行われることを確認した.また,DNN に代えて時系列情報の扱いを得意とするスパイキングニューラルネットワーク (spiking neural network, SNN) を用いた手指動作認識手法の検討に取り組み,一定の成果が得られている.今後は,行動識別モデルの学習時のLTRに関する検討を進めることで,ジェスチャの大きさを推定可能とする.さらに,以上で確立した手法をミリ波レーダ信号の解析へ適用し,実機を用いた評価を行う.
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