研究課題/領域番号 |
22K17938
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 亮太 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特別研究員(PD) (10934937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 身体所有感 / 行為主体感 / プロテウス効果 / バーチャルリアリティ / 身体認知 |
研究実績の概要 |
本年度は,右半身と左半身で別の身体特性を表現に関連する基礎研究として,アバタを右半身と左半身に分裂した際の身体知覚を調べるため,右半身と左半身の位置を動的に操作できるデモを制作し,国際会議で展示した。そこで,まとまった一つの身体として感じられる半身の位置関係と独立した2つの身体に感じられる位置関係を参加者の投票によって調べた。その結果,右半身と左半身が近い位置にある場合,まとまった一つの身体として感じられた。また,左右の半身距離が遠い場合,左右半身位置を左右入れ替えた場合,半身を前後にシフトさせた場合,2つの独立した身体のように知覚されることがわかった。これは,半身間のつながりが補完されるような近い距離の場合は,まとまった一つの身体として知覚され,つながりが補完されない場合は2つの独立した身体として知覚されることが示唆された。 次に,身体間のつながりが重要であることに着目し,つながりをポータルで補完する研究を行った。ポータルによって遠い距離でもつながりが維持され,本来身体所有感が低下するような遠い距離でも身体所有感が維持されると考えた。具体的には,ポータルの入口と出口を別の場所に配置し,アバタの半身が入口に入ったとき,出口から半身が出てくるようなVR環境を構築した。実験では,近いまたは遠いポータル条件,近いまたは遠い分裂身体条件,通常身体条件で身体所有感及び自己位置ドリフトの比較をした。その結果遠い距離では,ポータルを用いることで,単純な分裂よりも所有感が強くなった。また,その所有感は通常身体条件と同程度であった。これは,本来所有感が弱くなるような遠い距離でも,ポータルを用いることで身体所有感が維持されることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,右半身と左半身で別の身体特性を表現に関連する基礎研究として,アバタを右半身と左半身に分裂した際の身体知覚を調べた。その結果,興味深い結果が得られ,国際会議で複数回発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,右半身と左半身で別の身体特性を表現に関連する基礎研究として,分裂身体に着目した研究を行った。今後は,分裂した半身が異なる特性を持った際の身体知覚やプロテウス効果を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一つの国際会議で複数の研究発表ができたため,参加する学会が減り,旅費が予定額を下回った。次年度はより多くの国際会議で発表し,国際オープンアクセスジャーナルにも投稿する予定である。
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