研究実績の概要 |
本年度は, 脱臼検知制御を目的とした骨格間力覚を備える生体規範開放関節の構築に取り組んだ. まず, 膝関節や肘関節を想定した蝶番状関節, そして肩関節や股関節を想定した球関節の作製を行った. 材質に関しては人工関節の構成を参考とし, 凸形状の関節頭の部分をアルミニウム切削, 凹形状の関節臼蓋部を樹脂材料切削にて構築した. 寸法は, 人体関節寸法を参考とした. ゴムバンドや高分子ワイヤなどの簡易的な拘束を加えることで, 手動で関節部が滑らかに可動することを確認した. 続いて, ロードセルを用いた関節臼蓋部における接触力計測システムを構築した. 4つのロードセルを搭載し, 合計で 2000 [N] の圧縮力の計測を可能とする. 各々の出力値を基にした圧力中心の出力を行った. 最後に, 駆動系構築を行った. 本研究テーマでは, ブラシレスモータを用いて高分子ワイヤを巻取る腱駆動機構を採用する. そこで本年では, 腱駆動ロボットの計算機制御の評価の一環として, 防水・耐衝撃性などを備えるロボットグリッパを構築・検証した. 研究成果を, 第40回日本ロボット学会学術講演会 (RSJ2022) にて発表した. 以上, 初年度である本年度は, 脱臼検知制御ロボットの構築に向けた関節部と駆動系の構築を行った. 各々に関して, ハードウェア構築ならびに計算機制御を進めた. 次年度では関節部と駆動系の統合を進める. 骨格間力覚を用いた関節間圧力中心や接触力情報の駆動系指令へのフィードバックを予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である本年度では, 骨格間力覚を備える生体規範関節の構築を目標としていた. 当初申請者の転籍に伴う研究遂行の遅延が懸念されたが, 科研費を活用し機械部品や電装系・計測系などの機材設備を比較的スピーディに揃えることができた. 関節部の機械部品・電装系のアセンブリ及び手動での可動の確認を行った他, ロードセル値を用いた関節間力, 関節間圧力中心の測定が可能となった. これらの成果より, 研究がおおむね順調に進行していると判断した.
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