研究課題
若手研究
粘着末端を有する複数のDNA二重らせんがナノポア構造に自己集合する設計を考案した.実験により,疎水分子を修飾したDNA二重らせんを細胞サイズの脂質膜小胞(リポソーム)表面に挿入し,膜貫通していることを確認した.そして,脂質膜を貫通した状態でDNA分子どうしを結合させることに成功した.さらに,6種類の異なる膜貫通DNAが,脂質膜上でナノポアを形成したことを示唆する結果を得た.加えて,疎水分子が修飾されたDNAナノ構造を精製する新手法を考案し,学術論文として報告した.
DNAナノテクノロジー
細胞は物質である生体分子が自己集合・自己組織化を通して機能的な分子システムへと組み上がることで構成されている.本研究で得られた成果は,機能を持たない単量体の集合が機能的状態を創り出すための手がかりとなる可能性が期待できる.また,生体分子ナノポアはセンシングなどの工学的応用が期待されており,本研究成果は高度なセンシングデバイスを構築するための基盤技術としての発展が期待できる.