研究課題/領域番号 |
22K18015
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
植村 あい子 日本大学, 生産工学部, 助教 (00707862)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自動作編曲 / コード進行 / 音楽生成 / 作編曲支援 / 音楽情報処理 |
研究実績の概要 |
自動作編曲において、初心者が専用のソフトウェアや音楽理論に関する知識がなくても作編曲できるのは重要である。本研究は初心者がハーモニーの響きを手掛かりに楽曲生成ができる簡便なインタフェース作成への基礎検討として、2022年度は和音の協和性に着目しハーモニー生成モデルの改善に取り組んだ。従来の深層学習による生成手法では、リハーモナイズされたデータが少ないこともあり、データから生成された結果が協和性を考慮せずに潜在空間内の周囲の学習データで補完されてしまうという問題があった。 そこで2022年度はこれまで扱ってきたVariational Autoencoder (VAE)ベースの手法について協和する和音が生成されるようにモデルの改善を行った。具体的には不協和音度に基づいて理想的な協和度を定義し、和音構成音から計算される2音の共起性が理想的な協和度に近づくように、不協和音ペナルティを単純なネットワーク構造として実装した。本モデルを使用した場合、従来法に比べ三和音や7thコードといった標準的な和音数が増加し、一方で非標準和音や不協和音の数が減少することを確認した。本研究のコード進行生成例は個人ホームページで公開し、専門家によるフィードバックを仰ぐ体制も進めている。 将来的にユーザの好みに応じて協和度や不協和度に基づいてコード進行の響きをコントロールできるような拡張を検討し、楽曲生成インタフェースにも取り込んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半導体不足による機器の納品が遅延したとともに、新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえオンラインでの主観評価準備にも取り組んだがそちらにも時間を要し、専門家のフィードバックを得にくい状況が続いた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の専門家のフィードバックを取り入れて改善を図るとともに、モデルを拡張する方向で進め、響きのコントロールに協和度を用いる拡張を検討する。AI Music CreativityやISMIRなどの査読付き国際会議への投稿とそこでの議論を通じ、ジャーナルへの投稿を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際会議がオンライン開催となり、旅費が発生しなかったため。次年度は積極的な国際会議やジャーナルの投稿なども検討しており、それに伴う旅費や投稿料などの計上も予定している。
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