研究課題/領域番号 |
22K18018
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
増永 英治 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (90779696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 沿岸海域 / 潮汐 / 内部潮汐 / 乱流混合 / 南カリフォルニア |
研究実績の概要 |
研究初年度の本年度(2022年度)は,申請書で計画した通り米国サンディエゴScripps Institute of Oceanographyに長期間滞在し,海底渓谷(La Jolla Canyon)周辺で発生する内部潮汐に関する調査を実施した.南カリフォルニア沿岸海域全体を解像する数値モデルを行い,実際の観測データを十分に説明可能かつ,プラクティカルな利用に耐えうるモデルの開発をすることに成功した.特に海底渓谷における小スケールな内部潮汐の干渉効果や,エネルギーの散逸やエネルギーの反射に関わる潮汐エネルギー収支を明らかにした.また実地観測結果の解析では,乱流オーバーターニングスケールを長期間の係留観測データから見積もり,La Jolla Canyonにおける乱流混合の鉛直構造を明らかにした.浅い水域における係留観測を用いた長期間の乱流強度の推定方法は,Masunaga et al. (2023)として学術論文として掲載されている.また,日本沿岸海域における成果として,メソスケール渦とサブメソスケール渦を分離した解析を実施し,潮汐によって強化されるエネルギーの散逸や小スケール渦成分の強化について明らかにし,潮汐や黒潮の沿岸海域への新たな波及効果を明らかにした(Masunaga et al., 2022).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書で計画した通り,米国サンディエゴScripps Institute of Oceanographyに長期間滞在し,La Jolla Canyonにおける海洋観測及び数値実験を実施した.それにより,海底渓谷周辺の内部潮汐の動態を明らかにし,進捗状況は良好と言える.La Jolla Canyonにおける数値実験の研究は現在国際学術雑誌に投稿中である.また日本周辺海域における利根川周辺における調査については,数値モデルの開発を進めており,水平解像度1 kmの領域海洋モデルの運用に成功し,次年度に控える利根川河口海域周辺の調査についての準備も良好に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2023年度)は,南カリフォルニアLa Jolla Canyonで取得した海洋観測データや数値モデルの結果を引き続き解析・検証するとともに,日本の利根川河口域周辺の調査を実施する.具体的には,利根川河口において海洋観測を実施し,陸起源の低塩分水の拡散状況を調査し,海洋環境への影響を調査する.また,栄養塩等の淡水以外の陸起源物質の海洋への添加から輸送・拡散過程を調査し,陸域と海洋生態系の関連性を調査する.利根川河口周辺の調査については,他協力機関と連携し調査船利用の調整や,調査の許可関係の手続きを既に進めている.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度に計画していた海外との共同研究に関わる旅費に関わる旅費が想定より少なかったために若干の残高が生じた.この残高は次年度における調査旅費として利用する.
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