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2022 年度 実施状況報告書

ATR依存的なSWI/SNF複合体制御によるDNA複製ストレス解消機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K18033
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

矢野 公義  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (50930947)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードDNA複製ストレス / がん遺伝子 / ATRキナーゼ / SWI/SNF複合体
研究実績の概要

がん遺伝子活性化は、DNA複製ストレスを増大させ、ゲノム不安定化及び発がんを促進する。ATRキナーゼは、DNA複製ストレスに応答して活性化し、様々なタンパク質をリン酸化することによって、複製フォークの安定化、損傷修復、細胞周期チェックポイントの活性化などを制御する。これまでに、SWI/SNF複合体に遺伝子変異を有するがん細胞がATR阻害剤に対して高感受性を示すことが報告されているが、野生型SWI/SNF複合体とATRの存在下におけるDNA複製ストレス応答機構に関しては十分に解析されていない。本研究では、がん遺伝子誘発性DNA複製ストレスに応答するATR依存的なSWI/SNFタンパク質のリン酸化を同定するとともに、ATR-SWI/SNF複合体によるDNA複製ストレス解消機構を解明することを目的とした。
リン酸化プロテオーム解析から、KRAS変異によってATR依存的にリン酸化されるSWI/SNFタンパク質を同定した。また、このリン酸化タンパク質特異的な抗体を用いた免疫染色解析の結果からも、変異型KRASの発現誘導や、KRAS変異がん細胞において、このタンパク質のリン酸化レベルが上昇することが示された。さらに、DNAファイバーアッセイによって、このタンパク質が複製フォークの進行に及ぼす影響について解析した。その結果、siRNAを用いた発現抑制によって複製フォークが失速することが示唆された。これに関して、リン酸化の意義を調べるため、リン酸化部位を変異したタンパク質を発現する細胞株を樹立した。現在、リン酸化タンパク質が複製フォークの進行やその障壁となる要因に与える影響について解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

in vitroキナーゼアッセイにより、このタンパク質がATRによって直接的にリン酸化されるかどうかを調べた。しかし、同定したタンパク質はATRの直接標的ではない可能性が示唆された。そのため現在、実験条件改善による再検証と、ATR下流のキナーゼタンパク質についての検証も追加して実験を進めることとなった。また、研究代表者の新型コロナウイルス感染があり、一時実験が滞ってしまった。これらのことから、当初の予定より進捗がやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

同定したリン酸化タンパク質が複製フォークの進行に与える影響を評価する。また、複製フォーク進行の障壁となる要因、複製フォーク停止時のフォークリモデリング、DNA複製ストレスの結果として生じる一本鎖DNAや二本鎖切断などに着目して、DNA複製ストレス応答するリン酸化タンパク質の作用点を明らかにする。
in vitroキナーゼアッセイをもとに、このタンパク質リン酸化の責任因子を調べ、DNA複製ストレス下におけるATR-SWI/SNF複合体のシグナル伝達経路を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

DNA複製ストレスに応答するリン酸化タンパク質の作用点解析について研究進捗にやや遅れが生じたため、これに必要となる研究用品・試薬などの購入経費を次年度に繰り越す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Emerging strategies for cancer therapy by ATR inhibitors2023

    • 著者名/発表者名
      Kimiyoshi Yano, Bunsyo, Shiotani
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/cas.15845

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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