研究課題/領域番号 |
22K18076
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
JIN BEI 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 講師 (10772387)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 中国 / 感染症対応 / 市民社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国の二度の感染症対応に着目し、権威主義国家と市民社会の関係の変化を考察することによって、その医療・公衆衛生政策の構造的問題を明らかにすることを目的とする。具体的には、三つの段階に分けて研究を進める予定である。1、中国の医療・公衆衛生政策、市民社会の発展、それから感染症対応における政党、官僚制と市民社会の関係などに関して、先行研究の把握と資料の収集を行い、本研究の問題意識に適用できる既存の理論または競合理論の有無を確認する。2、可能な範囲で、SARS対応とCOVID-19対応に当たった党、行政、市民団体の関係者を対象にインタビュー調査を実施し、感染症対応における党、行政、市民団体の取り組みとその相互関係を把握することによって、感染症対応をめぐる政策過程の実態を考察する。3、可能な範囲で一般市民を対象にオンライン調査を実施し、感染症対応における党、行政、市民団体の取り組みに対する一般市民の認識を把握する。上記の作業を順次実施することによって、権威主義国家と市民社会の関係の変化、またその医療・公衆衛生政策の構造的問題を明らかにすることを試みる。
本年度は、当初の研究計画通り、1のうち、中国の医療・公衆衛生政策と市民社会の発展に着目し、先行研究の把握と資料の収集を進めた。データベースで入手可能な文献、資料のほか、2023年2月に現地で文献調査を行った。その結果、先行研究の蓄積を確認できた一方で、現時点では本研究の問題意識に適応できる既存の理論的枠組みの欠如が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はCOVID-19の水際対策により、現地で文献調査を行うことが困難であった。また、それまでの先行研究と関連資料の把握を踏まえ、本研究の問題意識に適用できる既存の理論の欠如に対応するために、より広い範囲で文献調査を行い、その中から資料の抽出、整理を行うことが必要となった。結果として、今年度の先行研究の把握は当初の研究計画よりやや遅れており、その完成を次年度の前半に予定している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず中国の医療・公衆衛生政策、市民社会の発展に関する先行研究と関連資料の把握を完成してから、感染症対応における政党、官僚制と市民社会の関係などに関する文献と資料のレビューを進めたい。それまでの研究結果は、the 2023 IPSA World Congress of Political Science、2023年度日本政治学会研究大会で口頭発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19の水際対策により、予定通りに現地で文献調査を実施できなかった。次年度は、本年度予定していた現地での文献調査も併せて実施する予定である。
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